【認知行動理論】
・「認知行動理論」は、行動療法に認知の観点を取り入れた認知行動療法の基礎となる新しい統合理論
◆学習に対する2つの考え方
・従来の学習に関する考え方には大きく2つの流れがある。
1:「学習は刺激と反応の結びつきの枠組みで説明されるという、「学習理論(S-R理論、S-O-R理論)」の立場
2:ゲシュタルト心理学の観点から、「学習は知覚体系の体制化あるいは再体系化、すなわち認知の変容の枠組みで説明される」という、「認知理論」の立場
これらは、学習理論(もしくは行動理論)を基盤とする「行動療法」と、認知理論を基盤とする「認知療法」としてそれぞれの発展をもたらした。
ところが、行動療法が発展するにしたがって、従来の学習理論では説明がつきにくい現象が、臨床場面を中心に多く指摘されるようになった。
1:刺激を提示しても反応に変化が現れなければ学習が成立したとはいえないとする、「対応性」の仮定に対する疑問。
2:学習は普遍的な現象であり生物学的な影響の差はないとする、強化随伴性の「普遍性」の仮定に対する疑問。
3:強化刺激によって随伴されている行動に変化がみられなくても、実際には強化刺激は効果をもたらしているとする「自動性」の仮定に対する疑問。
これらの従来の学習理論の問題点を解決するために、大まかにいえば、学習理論に認知理論を統合するような形で認知行動療法が提唱されるようになった。
【認知行動理論と認知行動療法】
・行動療法を用いた臨床場面においては、
1:同一刺激を与えてもクライエントの反応は様々である。
2:逆にさまざまな刺激をクライエントに与えても反応は同じであることがある。
3:刺激も反応も観察不可能な場合がある。
などの問題点が指摘されるようになり、従来の不備な点を補うような形で認知行動療法が展開した。
◆学習(行動)理論の限界を踏まえ、人間の行動は認知的な活動が介在するという事実を重視し、顕在性の行動に力をおく学習(行動)理論に代わり、その説明力を高めるために認知的変数をより積極的に取り組んだ認知行動療法が展開されたことになる。一方、従来の行動療法が認知的要因を扱っているわけではないという指摘も多い。
例えば・・・
伝統的な行動療法の技法である系統的脱感作法はイメージという形で認知的要因を扱っている。
思考中断法は思考という認知的変数への介入を試みているなどとする見解である。
ところが・・・
適切な行動と強化との関連性を教示した方が治療効果が上がるなどといった事実を踏まえると、クライエントの内面のコントロールの主体が、どこにあるのかという、前提の違いではないかという指摘もある。
実際に認知行動療法は、行動と認知の両面から介入する方法が採用され、クライエントの認知的要因である思考、態度、信念などはクライエント自身のコントロール下にあるという前提のもとに、セルフコントロール力を高めることに重点がおかれる。
すなわち・・・
行動が認知、情動、生理的変化などと相互決定的に影響を与えあうことを前提とし、行動、認知、情動、生理などに対して多面的に働きかけ、治療効果を引き出そうとすることに特徴がある。問題行動や症状の克服のみならず、克服過程をも学習することを強調するという相違点はあるものの、その基本は行動療法と同様の志向をしていることに変わりはない。
◆認知行動理論は、伝統的な学習(行動)理論が精練される変化の過程ととらえることができる。
【スキーマ】schema について
・個人の中にあるかなり一貫した知覚・認知の構え。すなわち、個人が世界をどのように構造化しているかということを指す。
・スキーマは、過去の学習や経験に基づいたものであり、自分自身を個人として、集団の一員として規定するための信念体系、あるいは基本法則である。そして、個人がある出来事に特定の意味を与える規則でもある。
・うつ病患者のスキーマには「完全でなければ私は愛されない」「あらゆる点で有能でなければ私は失敗者だ」といったものがある。
【認知療法】
・認知療法――考え方を柔軟にしていくことで、うつや不安など、主に情緒面の問題を解決する治療法
【認知療法は認知行動療法の代表選手】
・認知療法はアメリカの精神科医 アーロン・ベック(1921年~)によって開発された。
クライエントの考え方のスタイル(認知)を治療の標的とし、その変容を通して情緒面、行動面の問題解決も図って行こうとする治療法であり、認知行動療法と総称される一群の治療アプローチの代表的なものである。
・感情や行動には自動的にふっと浮かんでくる思考(自動思考)が伴っていることが多い。その思考の背景には、さらに価値観や人生観など、考え方に特定の色づけを与えるもの(スキーマ)が関わっている。
・自動思考に注意を向け、それを変えていくことで、例えば・・不安になっても必要以上に騒ぎ(不安)を大きくしなくて済むようになる。また、自動思考の中に一定の色づけやパターンを見出していくことにより、極端なスキーマの検討ができれば、治療効果をより高め再発防止にも役立つ。
【認知療法の適用】
・認知療法が最も得意とするのは、うつ病とパニック障害であるが、近年は摂食障害やパーソナリティ障害などにも適用されて大きな効果をあげている。
【アーロン・ベック】 Beck.Aaron (1921~ )アメリカの精神科医。
・うつ病を中心としたさまざまな精神障害や、パーソナリティ障害に対する認知療法を創始し、体系化した。
・アーロン・ベックは、うつ病には特有の思考内容や、非論理的で非現実的な思考パターン(認知のゆがみ)のあることを観察し、うつ病患者の障害はこのような思考障害ゆえに生じるという仮説のもとに、認知の歪みのもととなる個人のスキーマ(価値観、信念)を修正することが出来る事を示した。
【認知行動療法のリンク】
◆仙台の認知行動療法|HSPにも効果的な認知行動療法
◆仙台の認知行動療法|中級編
◆行動療法|スキナー|公認心理師試験
◆認知行動理論|認知療法|公認心理師試験
◆認知行動理論|自動思考スキーマ
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