仙台カウンセリング
エリザベス・キューブラー・ロス 5段階 モデル|公認心理師試験
喪失の受容5つのプロセス「キューブラ・ロス」Elisabeth Kübler-Ross
心のケア1 「喪失を受容するために」
キューブラーロス 5段階 モデル
◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
*正しい知識をもって適切に対処していきましょう。
【喪失を受容するための5つのプロセス】
●私たちはどのようにしたら、安定した境地に達することができるだろうか。
どうすれば、ありのままの現実を見つめることができるのだろうか。
私たちに投げつけられる喪失、変化、新しい出来事を、
どのように受容して行けばいいのだろうか。
最初から、まったく逆らわず、わめくこともなく受け入れることはできないだろう。
物事を受け入れる場合、私たちは5つの段階を経過しながら進んで行く。
●アメリカの精神科医 「エリザベス・キューブラー・ロス」(1926~2004)は、
「究極の喪失」を、人間はどのようなプロセスを通して、
受け入れていくのかを明らかにした。
彼女はそれを、 ”悲嘆のプロセス” (グリーフワーク)と呼んだ。
●メンタルヘルスの分野では、死にかぎらず、いかなる喪失に直面する時でも、
同じようなプロセスをたどることが明らかになってきた。
例えば、1万円札をなくしたとか、待ち望んでいたメールが今日も来なかったといった
小さな喪失の場合にも、離婚、配偶者の死別、失業のような大きな喪失の場合にも、
同じようなことが起こるし、新しい家を購入して古い家を去る場合のように、
好ましい変化(結婚や新居への引っ越し等)の場合にすら、起こりうることである。
●エリザベス・キューブラ・ロス女史の明らかにした「5段階のプロセス」
◆第1段階:否認と隔離
予期しない衝撃的なニュースをきかされた時、現実に起こった時、
そのショックをまともに受けないために、まず否認がおこる。
◆第2段階:怒り
喪失(死)という現実を認めざるえなくなると、
次に怒りや恨みがこれに取って代わるようになる。
「なぜ俺だけこんな目に会わなくてはならないのだ!」
この怒りが八つ当りとなって他者に向けられる。
◆第3段階:取引
次に人は神や仏に対して、失ったものをどうしたら取り戻せるか、
又は、延命できるか取引し始める。
例: 「もう何もいりませんから家族を還してください」
例: 「この出来事が夢でありますように(夢であって下さい)」云々。
◆第4段階:抑うつ
以上の段階を経て、それらが無駄であることを知り当事者はうつ状態に陥る。
現実を直視し、無力感が深刻となる。
それとともに「かけがえのないもの」との永遠の別れを覚悟するために、
他人から癒されることのない絶対的な悲しみを経験しなければならない。
◆第5段階:受容
自分自身の現実、現状を、静かに見つめることのできる受容の段階に入る。
最終的に「喪失」を静かに、そして穏やかに受け入れる段階。
【受容】
・受容は格別に快適というわけではない。実際は苦痛を伴う。動揺を禁じ得ない時もある。
・受容へのプロセスが始まる時、私たちはショックを受け、パニック状態に陥ることが多い。
・段階をすすむにつれて、混乱したり、傷つきやすくなったりする。
・さびしく、孤立感をつのらせる場合もある。
まだ受け入れていない事実について、
私たちは、このようなプロセスを通過して受容して行くのだが、
「悲嘆のプロセス」の複数の段階が同時にやってくることもありうる。
否認、抑うつ、取引、怒りが一度に殺到してくることも考えられる。
自分がある状況を受け入れようと苦闘しているという事実すら、
実感できない時があるかもしれない。
小さな喪失なら、この5段階のプロセスを通過し終えるのに
30秒ほどで済むかもしれない。
重大な喪失の場合は、数年間かかるかもしれない。個人差は大きい。
しかも、この5段階はあくまでも図式モデルであって、
誰でもこのプロセスを正確にたどるわけではない。
時には、途中で一つ前の段階へ戻ったり、
二つ先の段階へ飛んだりと行ったり来たりすることもあるだろう。
怒りから否認へ、否認から取引へ、さらに取引から否認へ戻るといった具合に。
いずれにしても、私たちは速度や道程には関係なく、
この段階を進んでいかなければならない。
エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kübler-Ross)は、
それが正常なプロセス(過程)であるばかりでなく、
必要不可欠な過程であり、全段階が必要だと述べている。
※災害時 『心のケア』 にお役立て下さい。
【田村みえ式:効果的な受容への6ステップ】
1,表現する
2,感情日記を書く
3,改善した後をイメージする
4,症状や感情を数値化する
(点数やパーセンテージでみえる化)
5,笑う
6,コミュニケーション
1,表現する
・注射する時の「ある心理実験データ」があります。
痛みをじっと「我慢したチーム」は痛みの変化なし、
痛い痛いと「表現したチーム」は痛みが五分の一に緩和された。
臨床医のナンシー・モーガン医師がワシントンのがん医療センターで重度のがん患者に対して
「筆記エクササイズ」を行ったところ、大きな成果が得られました。
◆参加者の49%が「病気に対する考え方が変わった」
◆参加者の38%が「今の状態について考えが変わった」
※特に、若い患者、最近がんと診断された患者に高い効果が得られた。
※看護師時代:私の経験A
看護師をしていた時に「同じ癌(がん)ステージ、同じ年代」
の患者さんに接した経験が度々ありました。
一人は改善し退院した一方で、もうおひとりの方は亡くなられました。
ずっと疑問に感じていましたが「内面の動き」が重要だったのだということが明らかになっています。
科学的な医療に加えて心理面のサポートは、かなり重要ということが証明された訳です。
※仙台で心理カウンセラーになった私の経験B
2011年3月11日発生した東日本大震災での体験から。
当時、4月~被災地支援の依頼で南三陸町をはじめ、
約14か所でお話を聴く機会がありました。
その際、ほとんどの方が「泣きたいけど泣いたら怒られる」
「責められるので泣けない」と話してくれたのが印象的でした。
まさに!「表現しないことで苦しさが増す」ということが起こっていました。
正しい哀しみ方を知らず適切な「感情表現を抑圧」していた人が多かったのです。
もちろん、相談の場面では感情解放が起こりますので話した方のほとんどが、
「ラクになりました」とか「スッキリしました」と、
若干の笑顔に変化したその場面を、
今でも驚くほど鮮明に記憶しています。
2,感情日記を書く
・日記療法、レコーディングワーク、筆記エクササイズなど
・出来事ではなく自分の「感情や思考」を書くワーク。
・感じたことや考えたことをただひたすら書く。
※仙台で心理カウンセラーになった:私の経験C
レコーディングワークは現在、カウンセリングの場面でも取り入れており、
ワークの後はカウンセラーとの対話でフィードバック・振り返りを行ないます。
取り入れていなかった時期に比較すると、
カウンセリングの回数が約半分で終結しています。
(適切な手順で行なえるサポートも可能です)
3,改善した後をイメージする
・自分の現在地を知り、どこを目指したいのかを理解できると受容しやすくなります。
そのためには、対話は欠かせませんね。
4,症状や感情を数値化する
(点数やパーセンテージでみえる化)
・カウンセリングでは「最悪とか絶望」「もう終わりだ」など、
漠然とした表現の程度を数値化して確認することをお勧めしています。
最悪という表現でも場合によっては「100ではなく80」位だったりします。
いかがですか?とおききすると、「意外だ」という言葉が聞かれます。
漠然と感じるより数値化で現在の自分、過去の自分、未来の自分を、
「セルフ・プロデュース」することも可能になります。
何より「ホッとする」部分を実感できますので受容に近づきやすいです。
5,笑う
・怒りや孤独は自分で自分を苦しめてしまうことが少なくありません。
受容の時期に突入すると少しだけ余裕が出てきます。
この時期に笑いを心がけることで更に余裕がうまれます。
人間が笑うと体に良い脳内物質:ドーパミン、
セロトニン、エンドルフィンなどが分泌されます。
更にコルチゾールの分泌を正常化し、
免疫力アップ、痛みの緩和、記憶力アップなども期待できるのです。
「笑う門には福来たり」ですね!
笑える状況にない場合は「口角」を上げるだけでも効果があります。
※脳神経科学の分野では”つくり笑顔”であっても、
効果があることが証明されています。
6,コミュニケーション
・告知された時には「一人にしてほしい」という状況ですが、
受容の時期に突入すると、人とつながりたい、人と会いたいという気持ちの転換が起こります。
この時期は状況を見ながら身近な人とのコミュニケーションを徐々に設けて行くのが効果的です。
つながりは癒しの効果が得られます。社会的つながりが多くある人は立ち直る能力も高いのです。
ある研究では、心臓発作を起こしたあとの6か月間を感情面で支えられた人は、
そうでない人と比べて生存率が3倍高かった。
また、別の研究では乳がんの支援グループに参加した患者は参加しない人に比べて、
手術後の寿命が2倍も長かった。
このことからも、社会的つながりやコミュニケーションは重要だということがわかります。
※以上は、特にケアする側として知っておくとお役に立つと思われます。
【5段階モデルのまとめ】
【キューブラー・ロス 5段階モデルのまとめ】
喪失の受容5つのプロセス
「エリザベス・キューブラ・ロス」Elisabeth Kübler-Ross
(死にゆく人の心理的変化を5段階でとらえて説明している)
1.否認と孤立
自分の命が長くないことに衝撃を受け、その事実を感情的に否認したり、
その事実から逃避しようとしている段階。
周囲の認識や態度にギャップが生じるため、孤立しがちになる。
2.怒り
死ぬという事実は認識したが、一方で、
「ではなぜ、自分がこのような境遇になってしまうのか」といった思いが強く、
周囲に反発したり、怒りがこみあげてきたりする。
3.取り引き
死をもう少し先延ばしできないか、
あるいは、奇跡が起こって死を回避できないかと考えて、
神様にすがったり、善行を行ったりする。
4.抑うつ
死を避けられないことが分かり、あきらめや悲観、
空虚感、憂うつ、絶望といった気持ちに支配されて落ち込む。
5.受容
死を、誰にでも訪れる自然なものとして受け入れるようになる。
これまでの価値観や視野とは異なる「超越した次元」(スピリチュアリティ)
があることを理解し、心穏やかに過ごす。
※「死ぬ瞬間」エリザベス・キューブラー・ロス/著
【田村みえ式:まとめ】
・否認をクリアし受容に至る
・段階通りではなく行きつ戻りつを繰り返しながら受容に至ることが多い
・不安は否認を引き起こし、安心は受容を促す
・表現することで安心感が増し受容に結びつく
・人とのつながりは癒しになる
~田村みえ式:補足~
【治りにくい人と治りやすい人の違い】
◆治りやすい人
========
・病気を受け入れる
・感謝する
・ポジティブ言葉が多い
・笑顔を心がける
・思考に柔軟性がある
・視野が拡い
・苦痛を表現する
・他者を赦す
・自分を認める
・今ここを生きる
・病状の改善したところに目を向ける
・支えてくれる人がいる
◆治りにくい人
========
・病気と闘い、抵抗し、否認する
・悪口が多い
・ネガティブ言葉が多い
・口がへの字
・思考に柔軟性がない
・視野が狭い
・苦痛をがまんする
・他者を責める
・自分を責める
・過去にこだわる(後悔)
・病状の改善しないところに目を向ける
・自分一人でやろうとする
【心のケア1~心のケア15のリンク】
◆心のケア1|喪失の受容5つのプロセス キューブラロス|公認心理師試験
◆心のケア2|被災した人のケア
◆心のケア3|サバイバーズギルト|公認心理師試験
◆心のケア4|心身の反応
◆心のケア5|PTSD|公認心理師試験
◆心のケア6|トラウマティック・ストレス|公認心理師試験
◆心のケア7|急性ストレス障害|公認心理師試験
◆心のケア8|ストレス反応と心の病気
◆心のケア9|回復のための心構え
◆心のケア10|子どものケア
◆心のケア11|気遣いの言葉
◆心のケア12|グリーフ・カウンセリング
◆心のケア13|グリーフ・ワーク
◆心のケア14|援助者を目指す傾聴術
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