PTSD|公認心理師試験
心のケア5 PTSD|公認心理師試験
◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
*正しい知識をもって適切に対処していきましょう。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、生死に関わるような体験をし、強い衝撃を受けた後で生じる精神疾患です。症状が1ヵ月以上持続し、それによって顕著な苦痛感や、社会生活及び日常生活の機能に支障をきたしている場合、医学的にPTSDと診断されます。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準
【A】 その人は以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある
(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、
あるいは自分又は他人の身体保全に迫る危険をその人が体験し、目撃し、または直面した。
(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注:子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現されることがある。
【B】 外傷的な出来事が以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。
(1)出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む。
注:小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。
(2)出来事についての反復的で苦痛な夢。
注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。
(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする
(その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、
また、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)
注:小さい子供の場合、外傷特異的なことの再演が行われることがある。
(4)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛。
(5)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
暴露された場合の生理学的反応性。
【C】 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、
(外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺
(1)外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力
(2)外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力
(3)外傷の重要な側面の想起不能
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚
(6)感情の範囲の縮小(例:愛の感情をもつことができない)
(7)未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)
【D】 (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、
以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)入眠、または睡眠持続の困難
(2)いらだたしさまたは怒りの爆発
(3)集中困難
(4)過度の警戒心
(5)過剰な驚愕反応
【E】 障害(基準B,C、及びDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。
【F】 障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、
または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
※「DSM-IVーTR 精神疾患の分類と診断の手引」
高橋三郎、大野裕、染矢俊幸/訳 医学書院
PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)
心的外傷後ストレス障害の特徴
●PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)は、
心的外傷後ストレス障害という病気です。
災害や事件などにあって、その体験がトラウマとなり、
生活に支障がでている状態を指します。
●災害や事件、事故による甚大な被害は、
人間の心にトラウマとなって残り、PTSD症状を引き起こします。
PTSDは、もとはアメリカで注目された考え方で、
戦争体験の後遺症として研究されてきた概念です。
それが日本で震災や事件、災害にあった人にもみられることがわかり、
日本でも研究されるようになったのです。
●PTSD、トラウマという概念は、
このような経緯を経て日本社会に普及してきましたが、
まだ理解は十分とは言えず、多くの誤解をともなっているようです。
PTSD症状に苦しむ人が、周囲の誤解によって傷つき、
二次的な被害をうけることも決して少なくありません。
◆大きな災害や事件にあうと、精神的にダメージを受けます。
なかでも傷が深い人は、PTSDなどのストレス反応におそわれ
当時の恐怖を何度も思い出し、苦しみます。
PTSD 主な3つの特徴
*アメリカの精神医学会による診断基準では、PTSDの中核症状は主に3つに分かれています。
3つすべてが1ヶ月以上続く場合にPTSDと診断されます。
【再体験】
・トラウマ体験を思い出す。似たような状況におかれたとき不安や恐怖を感じる。
【回避・まひ】
・体験を思わせるもの、状況、場所、人などをさける。体験のことを思い出そうとしな
【過覚醒】
・小さなことを気にするようになり、なんでもないことで驚いたり、怒ったりする。
・事件のことを思い出して気分が悪くなり仕事に集中できない。
◆対応◆ *事件後の変化を自覚する。
・事件後(体験後)に自分の身に起きた変化のなかに、PTSD症状があります。
どのような変化があるか自覚して、そこを改善していくことが適切な対応です。
*心身や生活の変化を知る
*変化した部分を元に戻す
※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」2007 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編
※災害時 『心のケア』 にお役立て下さい。
【心のケア1~心のケア15のリンク】
◆心のケア1|喪失の受容
◆心のケア2|被災した人のケア
◆心のケア3|サバイバーズギルト|公認心理師試験
◆心のケア4|心身の反応
◆心のケア5|PTSD|公認心理師試験
◆心のケア6|トラウマティック・ストレス|公認心理師試験
◆心のケア7|急性ストレス障害ASD|公認心理師試験
◆心のケア8|ストレス反応と心の病気
◆心のケア9|回復のための心構え
◆心のケア10|子どものケア
◆心のケア11|気遣いの言葉
◆心のケア12|グリーフ・カウンセリング
◆心のケア13|グリーフ・ワーク
◆心のケア14|援助者を目指す傾聴術
◆心のケア15|悲嘆のプロセスから回復へ