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心理学の知識

人間心理学|コーチン|公認心理師試験

人間心理学|コーチン|公認心理師試験

人間性心理学の特徴と、臨床心理学の歴史の流れ
臨床心理学には4つのとらえ方がある。

人間心理学|コーチン
人間性心理学の特徴と、臨床心理学の歴史の流れ
臨床心理学には4つのとらえ方がある。

人間性心理学の特徴と、臨床心理学の歴史

1、「精神分析理論」ジークムント・S・フロイト(1856~1939)
2、「人間性心理学」カール・ロジャーズ(1902~1987)
3、「行動理論」ハンス・アイゼンク(1916~1997)
4、「認知理論」アーロン・ベック(1921~  )

行動理論と認知理論は統合され「認知行動理論」と呼ばれるようになった。

◆S・J・コーチンは人間性心理学の基本的特徴を以下のように述べている。
(重要な古典のひとつ)

1,人間を全体的に理解する
2,人間の直接的経験を重視する
3,研究者もその場に共感的に関与する
4,個人の独自性を中心におく
5,過去や環境より価値や未来を重視する
6,人間独自の特質、選択性、創造性、価値判断、自己実現を重視する
7,人間の健康的で積極的な側面を強調する
※コーチンの現代臨床心理学

【人間の健康的で積極的な側面を強調】

人間が無意識に支配されているとする精神分析や、外的環境に支配されているとする行動主義に対して、人間を自由意思のもつ主体的な存在として捉える立場が人間性心理学です。マズローはこの立場を、精神分析と行動主義の二大勢力に対して第三勢力の心理学と呼んだ。

【人間性心理学の立場に属する理論家や臨床家】

・「実存分析」ビクトール・エミール・フランクル(1905~1997)
・「現存在分析」ビンスワンガー(1881~1966)
・「クライエント中心療法」カール・ロジャーズ(1902~1987)
・「フォーカシング」ユージン・ジェンドリン(1926~2017)
・「ゲシュタルト療法」フレデリック・パールズ(1893~1970)
・「実存心理学」ロロ・メイ(1909~1994)
・「欲求階層説」アルフレッド・マズロー(1908~1970)

心理学の歴史
ヴント(1832~1920)の要素主義を批判する形でワトソン(1878~1958)が行動主義を展開した。その時の主張は「心理学を科学として成立させるためには、内観という人間の主観的な側面ではなく、客観的に測定・観察が可能な行動を扱うことが必要である」(心理学は自然科学の純粋に客観的・実験的な一部門であると考えていた)

ワトソン(1878~1958)が上記の主張を行った際の根拠の一つになっていたのは「パヴロフの条件反射学」その後1930年代ごろから刺激と反応の間に「有機体」を介在させる新行動主義が展開し「オペラント条件づけ」に関する知見も提出された。第二次世界大戦後になると、実用性を重視するプラグマティズム(社会的雰囲気?)が存在するようになり、実証的な心理療法への機運が高まったこともあり「行動療法」が展開した。

◆行動療法に関与した重要人物

・アイゼンク(1916~1997)
「パーソナリティ特性論(4階層)」
力動的心理療法の理論、実際的な治療効果、診断法・治療法に関する反論を行った。心理療法における科学的な治療効果研究のきっかけを作った人物。スキナーらと共通特徴を持つ治療法をまとめ「行動療法」と呼ぶことを提唱した。アイゼンクは行動療法を「人間の行動と情動とを現代行動理論に従ってよい方向に変える試み」「科学的に実証された学習理論に基づいて人間の行動を変化させるためのアプローチ」などと定義している。

・スキナー(1904~1990)
「行動分析学」
徹底的行動主義のスタンスを貫き、行動の原因を内的なものに求めないのが特徴。オペラント条件づけの理論と臨床応用で活躍した。

・ウォルピ(1915-1998)
「行動主義心理学」
フロイト(1856~1939)の考え方に沿った治療を行っていたが、フロイトの理論では理解できない症例に出会ったことで、パヴロフ(1849~1936)の条件反射学に興味を抱く。実験神経症を示すなど、行動療法の神経症モデルを提唱した。不安の治療に対して古典的条件づけの概念を初めて導入し、体系づけたことが大きな功績。その後、認知行動療法への統合などが生じていく。科学的である主張は人間性心理学ではなく行動主義やその流れにある行動療法だが、人間性心理学とあわせて科学的である部分もカウンセリングでは不可欠な存在。