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心理学の知識

人間心理学|コーチン

人間性心理学の特徴と、臨床心理学の歴史の流れ

臨床心理学には4つの大きなパラダイムがあります。
1,フロイトによって確立された精神分析理論
2,ロジャーズが代表的研究者である人間性心理学
3,アイゼンクが代表である行動理論
4,ベックによって確立された認知理論

行動理論と認知理論は2000年ごろから統合されて認知行動理論と呼ばれるようになっています。
Witmerの心理学クリニック開設以降、上記のパラダイムが提唱・確立されるまでの流れを確認してみます。
※ウィトマー(Witmer, L. 1867~1956)

◆コーチンは人間性心理学の基本的特徴を以下のように述べています。
(Korchin,S.J.の現代臨床心理学は重要な古典の一つです)。
1,人間を全体的に理解する
2,人間の直接的経験を重視する
3,研究者もその場に共感的に関与する
4,個人の独自性を中心におく
5,過去や環境より価値や未来を重視する
6,人間独自の特質、選択性、創造性、価値判断、自己実現を重視する
7,人間の健康的で積極的な側面を強調する
※コーチンの現代臨床心理学:コーチンの定義自体は有名です。

【人間の健康的で積極的な側面を強調する】
人間が無意識に支配されているとする精神分析や、外的環境に支配されているとする行動主義に対して、人間を自由意思のもつ主体的な存在として捉える立場が人間性心理学です。
マズローはこの立場を、精神分析と行動主義の二大勢力に対して第三勢力の心理学と呼んでいます。

【人間性心理学の立場に属する主な理論家や臨床家】
・実存分析のビクトール・エミール・フランクル
・現存在分析のビンスワンガー
・欲求階層説のアルフレッド・マズロー
・クライエント中心療法のカール・ロジャーズ
・フォーカシングのユージン・ジェンドリン
・ゲシュタルト療法のフレデリック・パールズ
・実存心理学のロロ・メイ
など・・・

心理学の歴史(補足)
ヴントの要素主義を批判する形でワトソンが行動主義を展開しました。
そのときの主張が「心理学を科学として成立させるためには、内観という人間の主観的な側面ではなく、客観的に測定・観察が可能な行動を扱うことが必要である」というものでした。この主張は、心理学は自然科学の純粋に客観的・実験的な一部門であると考えていたことが窺えます。

ワトソンが上記の主張を行った際の根拠の一つになっていたのは、パヴロフの条件反射学でした。
その後、1930年代ごろから刺激と反応の間に「有機体」を介在させる新行動主義が展開し、オペラント条件づけに関する知見も提出されました。
第二次世界大戦後になると、実用性を重視する社会的雰囲気(プラグマティズム)が存在するようになり、実証的な心理療法への機運が高まったこともあり、行動療法が展開しました。

◆行動療法の広がりには、以下の3人が大きく関与していました。
・アイゼンク
彼は心理療法における科学的な治療効果研究のきっかけを作った人物である。
力動的心理療法の理論、実際的な治療効果、診断法・治療法に関する反論を行った。
スキナーらと共通特徴を持つ治療法をまとめて「行動療法」と呼ぶことを提唱した人物でもある。
彼は行動療法を「人間の行動と情動とを現代行動理論に従ってよい方向に変える試み」
「科学的に実証された学習理論に基づいて人間の行動を変化させるためのアプローチ」などと定義している。
・スキナー
徹底的行動主義のスタンスを貫いており、行動の原因を内的なものに求めないのが特徴となっている。オペラント条件づけの理論家と臨床応用で活躍した。
・ウォルピ
フロイトの考え方に沿った治療を行っていたが、フロイトの理論では理解できない症例に出会ったことで、パヴロフの条件反射学に興味を抱いた。実験神経症を示すなど、行動療法の神経症モデルを提唱した。不安の治療に対して古典的条件づけの概念を初めて導入し、体系づけたことが大きな功績。
以上のような流れをもって、その後、認知行動療法への統合などが生じていきます。上記の通り科学的であることを強く主張しているのは、人間性心理学ではなく行動主義やその流れにある行動療法になりますが、人間性心理学とあわせて科学的である部分もカウンセリングでは欠かせない存在です。