INFORMATION

最新情報

心のケア12|グリーフ・カウンセリング

心のケア12 「グリーフ・カウンセリング」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

*悲嘆(グリーフ)・カウンセリングは喪失の悲嘆を癒すためのカウンセリングです。

グリーフ・カウンセリング

悲嘆カウンセリング (grief counseling)

愛する者の死など様々な喪失体験によって引き起こされる悲嘆の解決を心理的に援助すること。

【喪失体験に対する自然な反応】

1、呆然(麻痺、非現実感、パニック)
2、抵抗(否認、苦悶)
3、怒り(不当感、敵意、罪悪感)
4、抑うつ(空想、無関心、孤独、無力感)
5、諦め・受容
6、希望(解放、決意、再生)

●受け入れがたい苦痛に出会った時、何らかの緩衝工作をしながら徐々に乗り越えて行く。

【悲嘆はその過程を通じて次の仕事をなすと考えられる】

1、喪失についての現実感をもつ。
2、気持ちに正直になることで喪失を過不足なく受け止める。
3、喪失後の様々な障害をクリアし、適応のための準備をする。
4、失ったものに 「さようなら」 と言い、
  それなしに生きる新しい人生のスタートラインにつく。
5、これらの仕事を行うための時間をかせぐ(心理的負担を軽減させる)

※以上のような過程を、とばしたり、抑圧することなく体験することで、
その仕事を完遂させることが大切であり、援助の目的もそこにあります。

【悲嘆の仕事がうまく達成されないと・・・】
新しい人生が始められないばかりでなく、病的な悲嘆反応がおきることもある。
悲嘆の仕事を阻む過剰な身構えが、認知」や感情にひずみを与える。
防衛によって内的な傷も生まれる。

喪失という心理的外傷にこうしたひずみや傷が加わることで、
症状が複雑に、わかりにくくなり、解決を難しくしてしまう。

【病的な悲嘆反応】としては、
慢性的、時期はずれ(遅延化)など、悲嘆が終わらないケース、喪失対象外にも罪責感が及んだり、全生活が不安感に覆われるなどの誇張された悲嘆、身体症状や不適応行動の仮面を装い、喪失の認識をもたない場合などがある。

【セラピー】
このような病的な悲嘆を扱う場合を「セラピー」(心理療法)としてカウンセリングと区別することもある。
悲嘆の仕事のどこが滞っているのか、それを阻んでいるのは何かを確認することが必要となる。

【喪失体験】は、
心理的な外傷だけでなく現実問題として、生活上の大きな負担を伴うことが少なくない。
そのため無理せざるを得なくなる。

また、失くしたものは、もともと心の支えであったはずであり、それを欠いた心はもろくなるか、守りを固めてかたくなになるかであろう。
従って、他者の支えが大きな意味をもつ。

「愛」 があるゆえに、別れや悲しみがうまれるが、
それを癒やすのもまた 『 愛 』 といえる。

【援助者の役割】

1、悲嘆を時で癒すよう、中・長期的な、見通しを持つとともに、
必要な時期にそばにいる(接触をもつ)ようにする。

2、わかっているが認めたくないという、
あいまいな気持ちに寄り添いながらも、
喪失を現実のものとして認めるよう援助する。

3、悲嘆の過程を理解し、
言葉に出来る感情も出来ないものも、
抑圧することなく、できるだけ表現するよう促す。

4、失ったものなしに生きていく気持ちと、
行動の準備をサポートする。

5、病的な反応を識別し、
必要に応じて専門医(精神科医)などにリファーする。

※必要に応じ、専門医の受診が必要になる場合もあります。

◆悲嘆の強さや内容は、

1、当事者の年齢、性別やパーソナリティ、価値観、及び環境
2、失ったもの、およびそれとの関係
3、失った状況(特に、予期されたものか否か)

以上によって大きく違ってくる。

喪失体験はプライベートな出来事であり、悲嘆反応は固有のものである。
したがって援助者はその個人差を認識し、柔軟な対応を心がける必要があります。

一方、悲嘆は、人生において誰もが直面する普遍的な感情でもある。
悲嘆は、喪失から誕生への橋渡しでもある。
病的な悲嘆に陥る危険性をもちながら、喪失という大きな荷物を引き受け、
より豊かな人生へと旅立っていく姿は感動的でさえある。

援助者(カウンセラー)は、それに立ち会う使命がある。

心のケア12 「グリーフ・カウンセリング」グリーフケア

心のケア11|気遣いの言葉

心のケア11 「気遣いの言葉」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

【気遣いの言葉】

サバイバーズ・ギルト」のように、
強い苦しみを抱えた方の話をきく時
「気の利いた言葉」を探してしまいます。
ところがその気遣いが逆に相手の心を傷つけてしまうこともあります。

「サバイバーズ・ギルト」を例にとってみると、
思いはひとり一人異なり、
気遣ったつもりの言葉が深く傷つけ、
心を閉ざすきっかけになってしまう事もあります。
そのため、通常より繊細な心配りが必要です。

めまぐるしく変化する現状では、かつて経験したことのない、
新たなストレス源が次々と発生しています。
このストレス社会を生きるには、
誰でも心の通い合う会話に充分気を配る必要があります。

無理にプラス思考にもって行こうとする必要はありません。

「苦しい」感情があれば、その感情を認めることのほうが大切です。
ありのままを受容するのです。

湧き出てくる感情をジャッジ(評価・判断)せず、ありのままを認める。
ただ、それだけで心が癒されることもあります。

心のケア11 「気遣いの言葉」

心のケア10|子どものケア

心のケア10 子どもの場合の注意点 (被災された皆様へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

子どもは大人以上に敏感なところがありますが、
なかなか言葉にすることができません。
そのため、言葉以上に体の訴えや行動、
非言語的な部分に気をつけましょう。

◆1、学校や幼稚園に行きたがらない。

◆2、夜眠れない。夜中におびえて突然飛び起きる。おねしょをする。

◆3、親の気を引こうとしたり、しがみつく。赤ちゃん返りをする。

◆4、今まで出来ていたことが出来なくなり親に甘える。

◆5、すでに見られなくなっていた癖をまたしはじめる。

◆6、様々な体の症状を訴える。

◆7、一人になるのをいやがり、暗闇を怖がる。

【接し方について】

●できるだけ子どもを一人にせず、家族がいっしょにいる時間を多く持つ。

●愛情をできるだけ言葉にして表現し、安心させる言葉をかけてあげる。

●こどもが恐怖や悲しみの感情を話すようなら十分に聴いてあげる。

●子どもの話を注意深く聴き、理解している姿勢を示し伝えましょう。

●そばにいる。 抱きしめて安心感を与える。

●学童期の子どもに対しては、感情、心配な事、疑問を、
言葉にできるよう、手助けしてください。
普段、気持ちを表すのに使っているシンプル、簡単な言葉
(頭にきた、さみしい、怖い、悲しい、心配など)を用いましょう。

●言葉使いを子どもの発達レベルに合わせましょう。
可能な限り、シンプルで直接的なわかりやすい表現を用いましょう。

●思春期の人に対しては、大人同士として話しかけましょう。
そうすることによって彼らの気持ちや心配や疑問に、
あなたが敬意をはらっているというメッセージを送ることができます。

心のケア10 災害時:子どものケア

心のケア9|回復のための心構え

心のケア9 回復のための心構え (被災された方々へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

◆1、恐ろしい災害や事件を経験した後で、心身の変化や動揺が起こるのは、
自然な反応であることを理解しましょう。

あなたが異常なのではなく、災害や事件そのものが異常事態なのです。

・このような異常事態に対処するために、正常な反応として、
様々な心身の変化が現れます。また災害や事件のあと、
しばらくしてから心身に強い反応が起きてくることもあります。

◆2、投げやりになったり、やけをおこして状況を悪化させないよう、
可能な範囲で対処してください。

◆3、しばらくは一人にならずに、家族や仲間など、
安心できる人たちと過ごすようにしましょう。

◆4、食事・睡眠・休養など規則的な生活を心がけましょう。
避難所など難しい場合は自分なりのリズムをつくるよう心がける。
5~10分の休息でも良いので、こまめに横になる、目を閉じる、等を意識してみましょう。

◆5、一人で悩んだり、抱え込まず、周囲の人や専門家に相談しましょう。
会話はとても重要です。

◆6、ストレス反応からの回復は必ずしも直線的ではなく、
行きつ戻りつしながら回復していくものであることを知っておいてください。

◆7、過度の飲酒は控えましょう。

※ 受診できる環境にない場合は避難所巡回中の支援スタッフへご相談ください。

心のケア8|ストレス反応と心の病気

心のケア8 ストレス反応と心の病気

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

●ストレス反応と心の病気

・ストレス(ストレッサー)に対する感受性は、
性格や行動パターンなどの個人的な特性や、
その時の心身の状態などによって強い影響を受けます。

また事件、震災後、孤立して相談する相手がいないなどの、
社会的・環境的な状況も大きく関係します。

・震災直後はびっくりして頭が真っ白になったような感じになることがあります。
例えば「自分の住み慣れた故郷が壊滅なんてあり得ない、そんな馬鹿なことが・・」
というように、現実でないような感じがしたり、
思い出しても悪夢か映画でも見ているような気がするかもしれません。

◆1、急性ストレス反応
・直後は出来事を受けとめようと思う反面、現実を否定したり拒否したりするものです。
特に親しい人の行方がわからないとか、ひょっとしたら亡くなったかも知れないと思うと、
いてもたってもいられず心臓がドキドキしたり、冷や汗をかいたりします。
その場から逃げ出したくなったり、家族のことが心配でおろおろするかもしれません。

・なかには冷静で驚かないように見える人もいます。
あるいは妙に不自然にはしゃいでいる人もいるかもしれません。
この反応は急激な精神的・身体的負荷がかかると起こりますが、
およそ1カ月以内に消失します。

●急性ストレス障害(ASD)の特徴と、急性ストレス障害(ASD)の診断基準
※心のケア7 をご参照ください

◆2、解離反応(かいりはんのう)
・悲惨な出来事に遭遇したため強烈な精神的衝撃を受けた場合、
現実をすぐには心の中に受け入れる事が出来ず、
自分では気がつかないうちに嫌な感情や耐え難い苦しみを意識下に押し込んでしまい、
その抑圧された心の葛藤が身体症状や精神症状を引き起こすことがあります。

・たとえばあまりにもショックが大きいために、身体には異常がないのに、
声が出なくなったり、立てなくなったりする場合や、赤ちゃん言葉で話し始めたり、
意識がもうろうとすることがあります。

◆3、死別反応
・震災により親しい人を失った場合、落ち込みや憂うつな気分が続き、
怒りをどこにも向けられずに自分を責めたり、
悲しみからなかなか抜け出せない事があります。
なかには後追いしようと考える人もいるかもしれません。
このような気持ちが数カ月続くのはよくあることで、
時間の経過とともに必ず回復してきます。

◆4、外傷後ストレス障害(PTSD)
・震災から1カ月以上経過しても神経の高ぶりがおさまらず、
過覚醒の状態(些細な事にも過敏になり刺激されやすい状態)が続き、
震災の生々しい惨状の現場が頭に焼き付いていて、自分の意思に反して思い出され
再体験されることがあります。このような状態をPTSDと言っています。

・PTSDは強烈で凄まじい体験に起因した反応であるために、
心的なストレスが弱い場合には出現しません。
3か月以内に約半数は完全に回復しますが、それ以上続く場合もあります。

●PTSDの特徴と、PTSDの診断基準
※心のケア5 をご参照ください

◆5、うつ病
・身体的疲労、精神的疲労が続き、環境が変化することは、
うつ病発症の引き金になります。
特に責任感が強く、几帳面で、融通がきかない人は要注意です。

・うつ病の症状は睡眠障害をともなうことが多く、夜中に目が覚めて眠れなかったり、
早く目が覚めたり、寝つきが悪くなったりします。
そして憂うつな気分となり、興味、意欲、食欲がなくなり何をしても楽しくなく、
悲観的になり、自分を責め、生きていても仕方がないと思うようになるものです。

※ こうした症状があらわれた場合には一人で解決しようとせず、
精神科医・心療内科医やカウンセラーなどの
心の専門家に早めに相談することが必要です。
近くに専門家がいない場合は支援スタッフへご相談ください。

心のケア7|急性ストレス障害

心のケア7 急性ストレス障害(ASD)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害の特徴

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害
・事件や事故、災害などの直後からトラウマ反応があり、
その後のPTSD発症が考えられる状態。

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害は、PTSD発症の前兆
・トラウマ体験から1ヶ月以上経過しないと診断できないPTSDに対して、
体験の直後から診断できるのがASDです。

・ASDの症状がみられる場合、その後PTSDに移行する可能性が高く、
早期の対応が求められます。

●ASDに対応すれば、PTSDを防げる

・トラウマ*によって発症する病気には、PTSDのほかに、ASDというものがあります。
PTSDは事件や事故から1ヶ月以上症状が続かないと、診断されません。

しかし、実際には事件直後からPTSD症状が出て苦しむ人もいます。
そういった人を診断できないからといって放っておくわけには行きません。

・体験直後に解離症状を伴う顕著なトラウマ反応がある場合にはASDと診断して、対処します。
ASDの決め手は「解離症状の有無」です。この症状がある人はPTSD発症が予想されます。

【解離症状】

・感情がまひして、悲しめなくなる
・感情表現が少なくなり、悲しみや苦しみを感じているようにみえない
・自分の心が体から離れてしまったような感覚
・感情や現実感が失われ、何事も実感がわかなくなる
・突然の家族の死がドラマのシーンのように思える
・けがをしたのに痛くない
・こわいはずなのに何も感じない
・ときどきぼんやりして”うわのそら”になることがある
・日によって態度や性格が大きく異なる

◆あまりにもつらいと心が凍りつく◆

・解離症状とは、心が凍りついたような状態になることです。

家族との死別や衝撃的な事件などを体験した時、
その悲しみや苦しみを受け止めきれず、心がかたまってしまうのです。

気持ちが混乱した状態にも関わらず、表面的には平然として、
葬儀をすすめたり、警察の事情聴取に応じたりすることがあります。

◆しばらくたってから急に悲しくなる◆

・解離は多くの場合、一過性の反応(症状)として現れます。
トラウマ体験からしばらくたって、考える余裕ができると、
悲しみを急に強く感じたり、行動する気力を一気に失ったりします。

一過性で終わらず、慢性化するとパーソナリティ障害に陥ることもあります。
いずれにせよ、周囲が解離症状に気づいて、サポートすることが必要です。

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア6|トラウマティック・ストレス

心のケア6 トラウマティック・ストレス

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような例外的に著しく脅威的、
破局的な特質を持ったストレスのことをトラウマ(心的外傷:PTSD)と言います。

●「トラウマティックストレス」とは、
心的外傷を負うような精神的衝撃を引き起こす出来事を指します。

●「トラウマティックな出来事」とは、
人が日常的には経験しない出来事であり、
それは著しく悲惨で恐れや無力感のような強烈な反応を呼び起こします。

●「トラウマティックストレスを引き起こす出来事」とは、
戦闘、テロ、強姦などの性的暴行、身体的攻撃と暴行、略奪、誘拐、監禁、拷問、
大地震、大津波、火山の大爆発、死傷事件、交通事故及び労災事故などに
直接本人が体験した場合、あるいは身内の人や他人への暴行や死傷事件を
目撃した場合などがあげられます。
このような体験をすると様々な心身の不調が見られます。

●心的外傷を引き起こす体験(出来事)の基準は下記のように定義されています。

◇ICD-10(WHO世界保健機関):ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような、
例外的に著しく脅威的、破局的な性質を持ったストレスの多い出来事。

◇DCR-10(WHO世界保健機関):並はずれた脅威や破局的な性質で、
ストレスの強い出来事。

◇DSM-IV-TRの診断基準(米国精神医学会APA)

 a) 実際に又は危うく死ぬ、または重傷を負うような出来事を
   一度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を
   その人が体験し、または直面した。

 b) その人の反応の強い恐怖、無力感または戦慄に関するもの。

心のケア5|PTSD

心のケア5 PTSD

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準

【A】 その人は以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある

(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、
   あるいは自分又は他人の身体保全に迫る危険をその人が体験し、目撃し、または直面した。

(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注:子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現されることがある。

【B】 外傷的な出来事が以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。

(1)出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む。
注:小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。

(2)出来事についての反復的で苦痛な夢。
注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。

(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする
  (その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、
   また、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)
注:小さい子供の場合、外傷特異的なことの再演が行われることがある。

(4)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛。

(5)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合の生理学的反応性。

【C】 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、
   (外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺

(1)外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力
(2)外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力
(3)外傷の重要な側面の想起不能
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚
(6)感情の範囲の縮小(例:愛の感情をもつことができない)
(7)未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)

【D】 (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、
    以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)入眠、または睡眠持続の困難
(2)いらだたしさまたは怒りの爆発
(3)集中困難
(4)過度の警戒心
(5)過剰な驚愕反応

【E】 障害(基準B,C、及びDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。

【F】 障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、
   または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

※「DSM-IVーTR 精神疾患の分類と診断の手引」
高橋三郎、大野裕、染矢俊幸/訳 医学書院

PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)

心的外傷後ストレス障害の特徴

●PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)は、
心的外傷後ストレス障害という病気です。

災害や事件などにあって、その体験がトラウマとなり、
生活に支障がでている状態を指します。

●災害や事件、事故による甚大な被害は、
人間の心にトラウマとなって残り、PTSD症状を引き起こします。

PTSDは、もとはアメリカで注目された考え方で、
戦争体験の後遺症として研究されてきた概念です。

それが日本で震災や事件、災害にあった人にもみられることがわかり、
日本でも研究されるようになったのです。

●PTSD、トラウマという概念は、
このような経緯を経て日本社会に普及してきましたが、
まだ理解は十分とは言えず、多くの誤解をともなっているようです。

PTSD症状に苦しむ人が、周囲の誤解によって傷つき、
二次的な被害をうけることも決して少なくありません。

◆大きな災害や事件にあうと、精神的にダメージを受けます。
なかでも傷が深い人は、PTSDなどのストレス反応におそわれ
当時の恐怖を何度も思い出し、苦しみます。

PTSD 主な3つの特徴
*アメリカの精神医学会による診断基準では、PTSDの中核症状は主に3つに分かれています。
3つすべてが1ヶ月以上続く場合にPTSDと診断されます。

【再体験】
・トラウマ体験を思い出す。似たような状況におかれたとき不安や恐怖を感じる。

【回避・まひ】
・体験を思わせるもの、状況、場所、人などをさける。体験のことを思い出そうとしな

【過覚醒】
・小さなことを気にするようになり、なんでもないことで驚いたり、怒ったりする。
・事件のことを思い出して気分が悪くなり仕事に集中できない。

◆対応◆ *事件後の変化を自覚する。

・事件後(体験後)に自分の身に起きた変化のなかに、PTSD症状があります。
どのような変化があるか自覚して、そこを改善していくことが適切な対応です。

*心身や生活の変化を知る
*変化した部分を元に戻す

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」2007 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア4|心身の反応

心のケア4 トラウマティックストレスに起因した 「心身の反応

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

●恐ろしい災害や事件を経験した後で感情の揺り返しが来るのは良くあることであり、
ごく正常な事です。
この感情の揺り返しはトラウマティックな災害や、事件の直後に現れることもあり、
数時間、数日、あるいは1カ月経過してから現れる事もあります。

●元来、ストレスは危険な状況に対する警告の意味があり、
生体は危険に対処しようとして、
反射的に交感神経が作動して血圧や脈拍を増したり、
筋肉を緊張させて身構える体制になり、
ストレッサーという外的負荷に対しての侵襲を
和らげようとします(適応機制・防衛機制)。

このような緊張状態が消失せず持続すると、
ストレスから心や身体の病気が引き起こされます。

トラウマティックストレスによる 『心身の反応』 には、次のような反応が見られます。

◆1、感情・思考の変化
・信じられない出来事が起こったために茫然としてしまい、何がどうなっているのか、
何をどう考えれば良いのか、自分自身が直面した現実を受け入れられないといった
心の状態になったり、悲嘆、落ち込み(うつ)、感情が麻痺したようになり、
混乱することがあります。

・災害や事件を引き起こしたものに対しての怒り、イライラが生じ、
その災害や事件についての感情の波を抑えきれなくなって、突然、涙が出てきたり、
自分自身を責めたり、自分に原因があるのではないかという
非現実的感覚に襲われることもあり、災害や事件について考えられない時期と、
強く考えてしまう時期が繰り返します。

◆2、身体の変化
・不安、恐怖のために眠れなくなったり、頭痛、腹痛、咽の渇き、寒気、
吐き気、湿疹、けいれん、嘔吐、めまい、胸の痛み、高血圧、動悸、
筋肉の震え、歯ぎしり、視力の低下、発汗、息苦しさなどが出現する事があります。

◆3、認知・感覚の変化
・方向感覚を喪失したり注意力が続かず集中する事が困難になる事があります。
過度の緊張状態や過覚醒、決断力の低下、身構え、悪夢、災害や事件の事が、
頻繁に頭をよぎる事も多くみられます。

◆4、行動の変化
・睡眠リズムの変化による睡眠障害、食欲不振や逆にたくさん食べすぎたり、
薬やアルコールへの依存、なかなか行動がスムーズにできなくなったり、
社会から引きこもるなどもみられます。

※ これらの症状の中には医師による診察が必要な場合もあります。
疑わしい場合は受診が必要です。
受診できる環境にない場合は避難所巡回中の支援スタッフへご相談ください。

※以上、災害時の心のケアにお役立て頂けましたら幸いです。

心のケア3|サバイバーズ・ギルト

心のケア3 「サバイバーズ・ギルト」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)とは

戦争や災害、事故、事件、虐待などに遭いながら、
奇跡の生還を遂げた人が、
周りの人々が亡くなったのに自分が助かったことに対して
しばしば感じる罪悪感のこと。

「サバイバー」(survivor)は「生き残り・生存者・遺族」を意味し、

「ギルト」(guilt)は「罪悪感」を意味する(英語)。

【被災者の「サバイバーズ・ギルト」を理解するために】

台風の被害を受けながらも命が助かった方は、
その幸運による罪悪感に苦しめられることがあります。
この罪悪感は「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれます。

安易な慰めの言葉で傷つけてしまうことがないよう、
深い苦しみを抱える方の気持ちを少しでも理解し、
支えていくために必要なことを考えましょう。

【被災で生き延びられた方々の苦悩】

●「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」

生存者は命が助かったことによる苦しみを抱えることも多いのです。
自分の命は助かったものの親しい方の安否が分からず、
不安と心配で夜も眠れない毎日をお過ごしの方がたくさんおられます。
被災地では、一瞬の差が生死を分けることもあります。
今回の台風被災地でも誰かを助ける犠牲となった方々がおります。

そのような壮絶な体験の中で助かった生存者の方の中には、
自身の幸運に感謝しながら罪悪感に苦しめられてしまう方もおります。

「どうして私だけ助かってしまったのだろう」(苦悶)
「私が彼(彼女)の命を犠牲にしてしまった」(罪悪感)
「私さえいなければ彼を死なせることはなかったのに」(後悔)
「年老いた私が援助してもらうなんて申し訳ない」(自己否定)

このように、台風や震災、事故などの被害に遭い、
命が助かった幸運によって「罪悪感」にさいなまれることを
「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」と言います。

※’95年の阪神大震災や’05年4月25日に発生した
兵庫県のJR福知山線脱線事故に遭遇した生存者の間に、
このような罪悪感を抱えることがわかり注目されるようになった問題です。

災害時の心のケアにお役立て下さい。