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心理学の知識

心のケア15|悲嘆のプロセス

心のケア15 「悲嘆のプロセス

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

【究極の喪失】

これは大切な人の死であり、慣れ親しんだ環境との別れでもある。
別れが突然であったり、意に沿わなかったりする場合ほど、
悲嘆(グリーフ)、喪失の痛みは大きなものとなり、
時には自分ひとりでは扱えない状態を招くこともある。

悲嘆(グリーフ)ワークは、喪失の悲嘆を癒すためのワークである。

◆【対象喪失】:悲嘆(グリーフ)の原因

1、親しい者との死別(自死を含む)
2、親しい者との生別(離婚、別居、失恋など)
3、慣れ親しんだ場所や仕事などとの別れ
(転居、海外移住、進学、就職、退職、転校など)

◆ドイツの哲学者「アルフォンス・デーケン」(Alfons Deeken 1932~ )は、
悲嘆からの立ち直りを、12のプロセスに分けている。

『悲嘆12のプロセス』
 1.精神的打撃と麻痺状態
 2.否認(別れ、喪失を受け入れられない)
 3.パニック
 4.怒りと不当感(なぜ私が?)
 5.敵意とうらみ
 6.罪責感(後悔)
 7.空想形成ないし幻想
 8.孤独感と抑うつ
 9.精神的混乱と無関心
10.あきらめ→受容
11.新しい希望(ユーモアと笑いの再発見)
12.立ち直りの段階(新しいアイデンティティの誕生)

※悲嘆を体験する人がすべてこれらの12段階を通るわけではない。
また、必ずしもこの順序通りに進行するとは限らない。
時に、複数の段階が重なって現れることもあり、
体験の程度にもよるが、立ち直るまで数年かかる場合も少なくない。

【批判からは何も生まれない】
「怒り(4)」を表現する手段として、対象物がある時、批判、攻撃などで表現されることもある。
そのような心理状態(防衛反応)もあることを理解しておきたい。
それと同時に「何もできなかった(6)」と自分を責める罪責感もある。

このような場合、現実に直接何か出来ることは少なく、
いくつかの段階を行きつ戻りつつしながら徐々に回復へ向かって行く。
これらの事を自身の中で理解しておくと、現在の状態、
また、今後の自分が、「過去の自分」を振り返った時、
穏やかに、究極の喪失を受容できることが少なくない。

◆「専門家の力を借りる」という選択
【自分たちの力で対処する事に限界を感じる時の手段】

非常に大きなショック(心の傷)体験の場合は、
第三者:専門家のサポートを提供(または利用)することで、
心理的回復・改善(安全な状態)へと移行できるケースも少なくありません。

特に大きなダメージに対しての支援が必要な場合は、専門医の受診や、
専門家への相談なども含め、安全配慮の選択肢として把握しておく事も重要と思われます。

◆主な支援内容(例)※状況により支援方法を選択します。
・本人への直接対応、カウンセリング
・グループカウンセリング
・心理教育(体験後の心理的変化と対処法についての情報提供)
・家族への助言
・管理者・担当者への助言
・会社の場合:人事・総務・労務担当者への助言
・その他、状況に応じた対応
※必須項目:アセスメント(ショック状態の把握や心身両面の状況把握など)

以上、ご参考にしていただければ幸いです☆

【デーケン氏の言葉】
立ち直る段階での「心の癒し」で、特に重要なことは、
同じ体験がある人との分かち合いだと思っています。
経験していない人にはなかなか理解できないのです。

by アルフォンス・デーケン

心のケア15 「悲嘆のプロセス」 グリーフ・ケア

心のケア14|援助者を目指す傾聴術

心のケア14 「援助者を目指す傾聴術

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

【援助者を目指す傾聴術1】  

~受動的な聴き方~

■良い援助者とは
・誰か他の人の手助けをするというのは、相手の成長を促し、役立つ変化をもたらすチャンスです。
・あなたにとって、大切な人の手助けに成功すれば、あなたがそのために費やした時間や思いやりは、二人の関係をさらに深め、長続きさせるという形で報いられます。
・問題を抱えてあなたの助けを求めに来た人に対して良い効果のある援助を与えるためには何が必要でしょうか。
・効果的な手助けには、少なくとも3つの基本的要素(カール・ロジャース理論)があります。

1、受容:相手をあるがまま受け入れる

2、共感:自分を相手の立場において、相手の感情を体験する

3、自己一致(ほんもの):正直で率直な関係をもつ(嘘がないこと)

■受動的な聴き方

・相手が問題を抱えている時、相手の高ぶった感情がおさまるように手助けする、効果的な方法のひとつは、受動的な聴き方による対応です。
これは、あなたが相手を受け入れ、認めていることを示し、相手に話を続けるようにと励まします。受動的な聴き方による対応は下記のようなものです。

1、そばにいる
・相手が問題を持つことを知った時、物理的にそばにいて、相手と向き合い、目を見つめている事で、あなたの聴く姿勢を相手に感じさせる事ができる。

2、沈黙
・相手が問題を見つめようとしたとき、あなたが黙って聴くことができれば、相手にとって大きな助けや変化、気づきにつながります。

3、あいづち、うなずく
・あなたが、相手に注意、関心を持っていることを示すことができます。
・ある程度まで、あなたの、受容と共感を相手に伝えます。

4、繰り返し
・相手の発した言葉をそのままフィードバックする、この対応は相手の考えや思いや感情を更に深く話すことを促進します。

5、気持ちをくむ
・相手の感情に対し、あなたの受容と理解を表わし、援助したいと思っていることを伝えます。
(言葉にならないくらい辛かったのですね・・)
(これからどうしたら一番良いのか一緒に考えていきませんか?)

※このような受動的な聴き方による対応は、相手に受け入れられたと感じさせ、コミュニケーションを継続させる効果があります。

【援助者を目指す傾聴術2】  

~能動的な聴き方~

■能動的な聴き方

・能動的な聴き方は相手が問題を持った時に、その人を援助するための技法です。
・援助しようとする時の基本的な方法は受容と共感を伝えることです。
・あなたの欲求を満たすために相手と関わる事と、相手を援助するためにあなたが関わる事では、態度が全く異なります。

1、あいづち・うなずく

2、くりかえし

3、気づきのことば
(解読した結果、効果的と思われるフィードバック)

4、要約・言いかえ

5、気持ちをくむ
(相手の感情に耳を傾ける)

■ 【質問技法】

・開かれた質問を心がける

1)閉ざされた質問
・はい、いいえで答えることができる
・自分が関心のある問題だけをきいていく傾向があり、情報が偏りがちになる点に注意する。
・口の重い相手や、必要な情報を得る時には有用。

2)開かれた質問
・「~とはどんなことですか?」
・「~について話していただけませんか?」等々
話の主導権を相手に与える。
・こちら側(カウンセラー)の思惑を気にすることなく、相手の考えていること(真実・本心)を、自由に表現する機会を与える。

・相手の悲嘆(喪失や問題)を引き出し、感情に注意を集中させていく時などに用いる。
・出来事についての感情体験を相手(本人)に気づかせる。
・相手にとってそれは、どんな「感情」「気持ち」だったのかを質問する。

■望ましいコミュニケーション■

1:相手が問題を抱えている時は、必ず「何かあるな」と感じさせる言葉や態度を示す

2:そのサインを「何かあるな」「何だろう」と読み取り、相手の感情や考えるだろうと、推察したことを言葉にして相手に返し、相手がそれを実際に感じているかどうかを確認する

3:相手は、こちらが確認したことが正しければ、コミュニケーションを先にすすめる。
また、こちらが確認したことが間違っていれば、それを否定してより明確なサインを送ってくる。

~ by トマス・ゴードン「親教育のプログラム」 ~

心のケア14 「援助者を目指す傾聴術」グリーフケア

心のケア13|グリーフ・ワーク

心のケア13 「グリーフ・ワーク

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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*悲嘆(グリーフ)・ワークは喪失の悲嘆を癒すための心理療法です。

【グリーフ・ワークを始めるために必要なこと】

・安全確保(心理的、環境的、物理的)
・衣食住が確保されていること。
※諸々の事務手続きが未完了の場合でも、できるところから少しづつ進めます。
※震災後、諸々の事務手続きが完了していれば、なお良いでしょう。

【方法】

1、深い悲しみ(感情)を受け入れる
強い感情は時間と共に軽減します。
がまんせずに、「嘆く、泣く時間を確保」します。

2、悲嘆や喪失体験を話す
可能であれば信頼出来る人と悲嘆をシェア。
傾聴してくれる人をみつけることも大切。

3、悲嘆を分かち合う
同じ経験をした人と分かち合い、乗り越えるきっかけに。

4、軽いストレッチ(運動)と良質の睡眠(休養)
ストレッチは心も柔軟にします。
眠らなくてもこまめな休息を意識することも効果的。

5、セルフケア:自分を愛する
自分をいたわり、ねぎらう。自分を大切にする。
心地良いと思われる五感を感じてみる。

6、出さない手紙を書く
自分自身の感情に気づくきっかけになります。

7、自分の考えや思いを記録する
記録することで感情を放出します。
絵画療法アートセラピー)も有効。

8、助けを求める
自分をケア出来る人は助けを求めることができます。
(*傾聴してくれる人に助けを求める)

9、休養(休息)、栄養、睡眠
からだをいたわることで緊張を軽減できます。

※悲嘆を認めることは、衝撃的な体験から『何か』を学び取り、人生の大きな意味を見出すこと。
支援者(カウンセラー)は伴走しながら悲嘆の軽減をサポートして行きます。

心のケア13 「グリーフ・ワーク」グリーフケア

心のケア12|グリーフ・カウンセリング

心のケア12 「グリーフ・カウンセリング」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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*悲嘆(グリーフ)・カウンセリングは喪失の悲嘆を癒すためのカウンセリングです。

グリーフ・カウンセリング

悲嘆カウンセリング (grief counseling)

愛する者の死など様々な喪失体験によって引き起こされる悲嘆の解決を心理的に援助すること。

【喪失体験に対する自然な反応】

1、呆然(麻痺、非現実感、パニック)
2、抵抗(否認、苦悶)
3、怒り(不当感、敵意、罪悪感)
4、抑うつ(空想、無関心、孤独、無力感)
5、諦め・受容
6、希望(解放、決意、再生)

●受け入れがたい苦痛に出会った時、何らかの緩衝工作をしながら徐々に乗り越えて行く。

【悲嘆はその過程を通じて次の仕事をなすと考えられる】

1、喪失についての現実感をもつ。
2、気持ちに正直になることで喪失を過不足なく受け止める。
3、喪失後の様々な障害をクリアし、適応のための準備をする。
4、失ったものに 「さようなら」 と言い、
  それなしに生きる新しい人生のスタートラインにつく。
5、これらの仕事を行うための時間をかせぐ(心理的負担を軽減させる)

※以上のような過程を、とばしたり、抑圧することなく体験することで、
その仕事を完遂させることが大切であり、援助の目的もそこにあります。

【悲嘆の仕事がうまく達成されないと・・・】
新しい人生が始められないばかりでなく、病的な悲嘆反応がおきることもある。
悲嘆の仕事を阻む過剰な身構えが、認知」や感情にひずみを与える。
防衛によって内的な傷も生まれる。

喪失という心理的外傷にこうしたひずみや傷が加わることで、
症状が複雑に、わかりにくくなり、解決を難しくしてしまう。

【病的な悲嘆反応】としては、
慢性的、時期はずれ(遅延化)など、悲嘆が終わらないケース、喪失対象外にも罪責感が及んだり、全生活が不安感に覆われるなどの誇張された悲嘆、身体症状や不適応行動の仮面を装い、喪失の認識をもたない場合などがある。

【セラピー】
このような病的な悲嘆を扱う場合を「セラピー」(心理療法)としてカウンセリングと区別することもある。
悲嘆の仕事のどこが滞っているのか、それを阻んでいるのは何かを確認することが必要となる。

【喪失体験】は、
心理的な外傷だけでなく現実問題として、生活上の大きな負担を伴うことが少なくない。
そのため無理せざるを得なくなる。

また、失くしたものは、もともと心の支えであったはずであり、それを欠いた心はもろくなるか、守りを固めてかたくなになるかであろう。
従って、他者の支えが大きな意味をもつ。

「愛」 があるゆえに、別れや悲しみがうまれるが、
それを癒やすのもまた 『 愛 』 といえる。

【援助者の役割】

1、悲嘆を時で癒すよう、中・長期的な、見通しを持つとともに、
必要な時期にそばにいる(接触をもつ)ようにする。

2、わかっているが認めたくないという、
あいまいな気持ちに寄り添いながらも、
喪失を現実のものとして認めるよう援助する。

3、悲嘆の過程を理解し、
言葉に出来る感情も出来ないものも、
抑圧することなく、できるだけ表現するよう促す。

4、失ったものなしに生きていく気持ちと、
行動の準備をサポートする。

5、病的な反応を識別し、
必要に応じて専門医(精神科医)などにリファーする。

※必要に応じ、専門医の受診が必要になる場合もあります。

◆悲嘆の強さや内容は、

1、当事者の年齢、性別やパーソナリティ、価値観、及び環境
2、失ったもの、およびそれとの関係
3、失った状況(特に、予期されたものか否か)

以上によって大きく違ってくる。

喪失体験はプライベートな出来事であり、悲嘆反応は固有のものである。
したがって援助者はその個人差を認識し、柔軟な対応を心がける必要があります。

一方、悲嘆は、人生において誰もが直面する普遍的な感情でもある。
悲嘆は、喪失から誕生への橋渡しでもある。
病的な悲嘆に陥る危険性をもちながら、喪失という大きな荷物を引き受け、
より豊かな人生へと旅立っていく姿は感動的でさえある。

援助者(カウンセラー)は、それに立ち会う使命がある。

心のケア12 「グリーフ・カウンセリング」グリーフケア

心のケア11|気遣いの言葉

心のケア11 「気遣いの言葉」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

【気遣いの言葉】

サバイバーズ・ギルト」のように、
強い苦しみを抱えた方の話をきく時
「気の利いた言葉」を探してしまいます。
ところがその気遣いが逆に相手の心を傷つけてしまうこともあります。

「サバイバーズ・ギルト」を例にとってみると、
思いはひとり一人異なり、
気遣ったつもりの言葉が深く傷つけ、
心を閉ざすきっかけになってしまう事もあります。
そのため、通常より繊細な心配りが必要です。

めまぐるしく変化する現状では、かつて経験したことのない、
新たなストレス源が次々と発生しています。
このストレス社会を生きるには、
誰でも心の通い合う会話に充分気を配る必要があります。

無理にプラス思考にもって行こうとする必要はありません。

「苦しい」感情があれば、その感情を認めることのほうが大切です。
ありのままを受容するのです。

湧き出てくる感情をジャッジ(評価・判断)せず、ありのままを認める。
ただ、それだけで心が癒されることもあります。

心のケア11 「気遣いの言葉」

心のケア10|子どものケア

心のケア10 子どもの場合の注意点 (被災された皆様へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

子どもは大人以上に敏感なところがありますが、
なかなか言葉にすることができません。
そのため、言葉以上に体の訴えや行動、
非言語的な部分に気をつけましょう。

◆1、学校や幼稚園に行きたがらない。

◆2、夜眠れない。夜中におびえて突然飛び起きる。おねしょをする。

◆3、親の気を引こうとしたり、しがみつく。赤ちゃん返りをする。

◆4、今まで出来ていたことが出来なくなり親に甘える。

◆5、すでに見られなくなっていた癖をまたしはじめる。

◆6、様々な体の症状を訴える。

◆7、一人になるのをいやがり、暗闇を怖がる。

【接し方について】

●できるだけ子どもを一人にせず、家族がいっしょにいる時間を多く持つ。

●愛情をできるだけ言葉にして表現し、安心させる言葉をかけてあげる。

●こどもが恐怖や悲しみの感情を話すようなら十分に聴いてあげる。

●子どもの話を注意深く聴き、理解している姿勢を示し伝えましょう。

●そばにいる。 抱きしめて安心感を与える。

●学童期の子どもに対しては、感情、心配な事、疑問を、
言葉にできるよう、手助けしてください。
普段、気持ちを表すのに使っているシンプル、簡単な言葉
(頭にきた、さみしい、怖い、悲しい、心配など)を用いましょう。

●言葉使いを子どもの発達レベルに合わせましょう。
可能な限り、シンプルで直接的なわかりやすい表現を用いましょう。

●思春期の人に対しては、大人同士として話しかけましょう。
そうすることによって彼らの気持ちや心配や疑問に、
あなたが敬意をはらっているというメッセージを送ることができます。

心のケア10 災害時:子どものケア

心のケア9|回復のための心構え

心のケア9 回復のための心構え (被災された方々へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

◆1、恐ろしい災害や事件を経験した後で、心身の変化や動揺が起こるのは、
自然な反応であることを理解しましょう。

あなたが異常なのではなく、災害や事件そのものが異常事態なのです。

・このような異常事態に対処するために、正常な反応として、
様々な心身の変化が現れます。また災害や事件のあと、
しばらくしてから心身に強い反応が起きてくることもあります。

◆2、投げやりになったり、やけをおこして状況を悪化させないよう、
可能な範囲で対処してください。

◆3、しばらくは一人にならずに、家族や仲間など、
安心できる人たちと過ごすようにしましょう。

◆4、食事・睡眠・休養など規則的な生活を心がけましょう。
避難所など難しい場合は自分なりのリズムをつくるよう心がける。
5~10分の休息でも良いので、こまめに横になる、目を閉じる、等を意識してみましょう。

◆5、一人で悩んだり、抱え込まず、周囲の人や専門家に相談しましょう。
会話はとても重要です。

◆6、ストレス反応からの回復は必ずしも直線的ではなく、
行きつ戻りつしながら回復していくものであることを知っておいてください。

◆7、過度の飲酒は控えましょう。

※ 受診できる環境にない場合は避難所巡回中の支援スタッフへご相談ください。

心のケア8|ストレス反応と心の病気

心のケア8 ストレス反応と心の病気

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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●ストレス反応と心の病気

・ストレス(ストレッサー)に対する感受性は、
性格や行動パターンなどの個人的な特性や、
その時の心身の状態などによって強い影響を受けます。

また事件、震災後、孤立して相談する相手がいないなどの、
社会的・環境的な状況も大きく関係します。

・震災直後はびっくりして頭が真っ白になったような感じになることがあります。
例えば「自分の住み慣れた故郷が壊滅なんてあり得ない、そんな馬鹿なことが・・」
というように、現実でないような感じがしたり、
思い出しても悪夢か映画でも見ているような気がするかもしれません。

◆1、急性ストレス反応
・直後は出来事を受けとめようと思う反面、現実を否定したり拒否したりするものです。
特に親しい人の行方がわからないとか、ひょっとしたら亡くなったかも知れないと思うと、
いてもたってもいられず心臓がドキドキしたり、冷や汗をかいたりします。
その場から逃げ出したくなったり、家族のことが心配でおろおろするかもしれません。

・なかには冷静で驚かないように見える人もいます。
あるいは妙に不自然にはしゃいでいる人もいるかもしれません。
この反応は急激な精神的・身体的負荷がかかると起こりますが、
およそ1カ月以内に消失します。

●急性ストレス障害(ASD)の特徴と、急性ストレス障害(ASD)の診断基準
※心のケア7 をご参照ください

◆2、解離反応(かいりはんのう)
・悲惨な出来事に遭遇したため強烈な精神的衝撃を受けた場合、
現実をすぐには心の中に受け入れる事が出来ず、
自分では気がつかないうちに嫌な感情や耐え難い苦しみを意識下に押し込んでしまい、
その抑圧された心の葛藤が身体症状や精神症状を引き起こすことがあります。

・たとえばあまりにもショックが大きいために、身体には異常がないのに、
声が出なくなったり、立てなくなったりする場合や、赤ちゃん言葉で話し始めたり、
意識がもうろうとすることがあります。

◆3、死別反応
・震災により親しい人を失った場合、落ち込みや憂うつな気分が続き、
怒りをどこにも向けられずに自分を責めたり、
悲しみからなかなか抜け出せない事があります。
なかには後追いしようと考える人もいるかもしれません。
このような気持ちが数カ月続くのはよくあることで、
時間の経過とともに必ず回復してきます。

◆4、外傷後ストレス障害(PTSD)
・震災から1カ月以上経過しても神経の高ぶりがおさまらず、
過覚醒の状態(些細な事にも過敏になり刺激されやすい状態)が続き、
震災の生々しい惨状の現場が頭に焼き付いていて、自分の意思に反して思い出され
再体験されることがあります。このような状態をPTSDと言っています。

・PTSDは強烈で凄まじい体験に起因した反応であるために、
心的なストレスが弱い場合には出現しません。
3か月以内に約半数は完全に回復しますが、それ以上続く場合もあります。

●PTSDの特徴と、PTSDの診断基準
※心のケア5 をご参照ください

◆5、うつ病
・身体的疲労、精神的疲労が続き、環境が変化することは、
うつ病発症の引き金になります。
特に責任感が強く、几帳面で、融通がきかない人は要注意です。

・うつ病の症状は睡眠障害をともなうことが多く、夜中に目が覚めて眠れなかったり、
早く目が覚めたり、寝つきが悪くなったりします。
そして憂うつな気分となり、興味、意欲、食欲がなくなり何をしても楽しくなく、
悲観的になり、自分を責め、生きていても仕方がないと思うようになるものです。

※ こうした症状があらわれた場合には一人で解決しようとせず、
精神科医・心療内科医やカウンセラーなどの
心の専門家に早めに相談することが必要です。
近くに専門家がいない場合は支援スタッフへご相談ください。

心のケア7|急性ストレス障害

心のケア7 急性ストレス障害(ASD)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害の特徴

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害
・事件や事故、災害などの直後からトラウマ反応があり、
その後のPTSD発症が考えられる状態。

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害は、PTSD発症の前兆
・トラウマ体験から1ヶ月以上経過しないと診断できないPTSDに対して、
体験の直後から診断できるのがASDです。

・ASDの症状がみられる場合、その後PTSDに移行する可能性が高く、
早期の対応が求められます。

●ASDに対応すれば、PTSDを防げる

・トラウマ*によって発症する病気には、PTSDのほかに、ASDというものがあります。
PTSDは事件や事故から1ヶ月以上症状が続かないと、診断されません。

しかし、実際には事件直後からPTSD症状が出て苦しむ人もいます。
そういった人を診断できないからといって放っておくわけには行きません。

・体験直後に解離症状を伴う顕著なトラウマ反応がある場合にはASDと診断して、対処します。
ASDの決め手は「解離症状の有無」です。この症状がある人はPTSD発症が予想されます。

【解離症状】

・感情がまひして、悲しめなくなる
・感情表現が少なくなり、悲しみや苦しみを感じているようにみえない
・自分の心が体から離れてしまったような感覚
・感情や現実感が失われ、何事も実感がわかなくなる
・突然の家族の死がドラマのシーンのように思える
・けがをしたのに痛くない
・こわいはずなのに何も感じない
・ときどきぼんやりして”うわのそら”になることがある
・日によって態度や性格が大きく異なる

◆あまりにもつらいと心が凍りつく◆

・解離症状とは、心が凍りついたような状態になることです。

家族との死別や衝撃的な事件などを体験した時、
その悲しみや苦しみを受け止めきれず、心がかたまってしまうのです。

気持ちが混乱した状態にも関わらず、表面的には平然として、
葬儀をすすめたり、警察の事情聴取に応じたりすることがあります。

◆しばらくたってから急に悲しくなる◆

・解離は多くの場合、一過性の反応(症状)として現れます。
トラウマ体験からしばらくたって、考える余裕ができると、
悲しみを急に強く感じたり、行動する気力を一気に失ったりします。

一過性で終わらず、慢性化するとパーソナリティ障害に陥ることもあります。
いずれにせよ、周囲が解離症状に気づいて、サポートすることが必要です。

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア6|トラウマティック・ストレス

心のケア6 トラウマティック・ストレス

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような例外的に著しく脅威的、
破局的な特質を持ったストレスのことをトラウマ(心的外傷:PTSD)と言います。

●「トラウマティックストレス」とは、
心的外傷を負うような精神的衝撃を引き起こす出来事を指します。

●「トラウマティックな出来事」とは、
人が日常的には経験しない出来事であり、
それは著しく悲惨で恐れや無力感のような強烈な反応を呼び起こします。

●「トラウマティックストレスを引き起こす出来事」とは、
戦闘、テロ、強姦などの性的暴行、身体的攻撃と暴行、略奪、誘拐、監禁、拷問、
大地震、大津波、火山の大爆発、死傷事件、交通事故及び労災事故などに
直接本人が体験した場合、あるいは身内の人や他人への暴行や死傷事件を
目撃した場合などがあげられます。
このような体験をすると様々な心身の不調が見られます。

●心的外傷を引き起こす体験(出来事)の基準は下記のように定義されています。

◇ICD-10(WHO世界保健機関):ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような、
例外的に著しく脅威的、破局的な性質を持ったストレスの多い出来事。

◇DCR-10(WHO世界保健機関):並はずれた脅威や破局的な性質で、
ストレスの強い出来事。

◇DSM-IV-TRの診断基準(米国精神医学会APA)

 a) 実際に又は危うく死ぬ、または重傷を負うような出来事を
   一度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を
   その人が体験し、または直面した。

 b) その人の反応の強い恐怖、無力感または戦慄に関するもの。