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心理学の知識

心のケア5|PTSD

心のケア5 PTSD

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準

【A】 その人は以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある

(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、
   あるいは自分又は他人の身体保全に迫る危険をその人が体験し、目撃し、または直面した。

(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注:子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現されることがある。

【B】 外傷的な出来事が以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。

(1)出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む。
注:小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。

(2)出来事についての反復的で苦痛な夢。
注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。

(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする
  (その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、
   また、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)
注:小さい子供の場合、外傷特異的なことの再演が行われることがある。

(4)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛。

(5)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合の生理学的反応性。

【C】 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、
   (外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺

(1)外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力
(2)外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力
(3)外傷の重要な側面の想起不能
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚
(6)感情の範囲の縮小(例:愛の感情をもつことができない)
(7)未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)

【D】 (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、
    以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)入眠、または睡眠持続の困難
(2)いらだたしさまたは怒りの爆発
(3)集中困難
(4)過度の警戒心
(5)過剰な驚愕反応

【E】 障害(基準B,C、及びDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。

【F】 障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、
   または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

※「DSM-IVーTR 精神疾患の分類と診断の手引」
高橋三郎、大野裕、染矢俊幸/訳 医学書院

PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)

心的外傷後ストレス障害の特徴

●PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)は、
心的外傷後ストレス障害という病気です。

災害や事件などにあって、その体験がトラウマとなり、
生活に支障がでている状態を指します。

●災害や事件、事故による甚大な被害は、
人間の心にトラウマとなって残り、PTSD症状を引き起こします。

PTSDは、もとはアメリカで注目された考え方で、
戦争体験の後遺症として研究されてきた概念です。

それが日本で震災や事件、災害にあった人にもみられることがわかり、
日本でも研究されるようになったのです。

●PTSD、トラウマという概念は、
このような経緯を経て日本社会に普及してきましたが、
まだ理解は十分とは言えず、多くの誤解をともなっているようです。

PTSD症状に苦しむ人が、周囲の誤解によって傷つき、
二次的な被害をうけることも決して少なくありません。

◆大きな災害や事件にあうと、精神的にダメージを受けます。
なかでも傷が深い人は、PTSDなどのストレス反応におそわれ
当時の恐怖を何度も思い出し、苦しみます。

PTSD 主な3つの特徴
*アメリカの精神医学会による診断基準では、PTSDの中核症状は主に3つに分かれています。
3つすべてが1ヶ月以上続く場合にPTSDと診断されます。

【再体験】
・トラウマ体験を思い出す。似たような状況におかれたとき不安や恐怖を感じる。

【回避・まひ】
・体験を思わせるもの、状況、場所、人などをさける。体験のことを思い出そうとしな

【過覚醒】
・小さなことを気にするようになり、なんでもないことで驚いたり、怒ったりする。
・事件のことを思い出して気分が悪くなり仕事に集中できない。

◆対応◆ *事件後の変化を自覚する。

・事件後(体験後)に自分の身に起きた変化のなかに、PTSD症状があります。
どのような変化があるか自覚して、そこを改善していくことが適切な対応です。

*心身や生活の変化を知る
*変化した部分を元に戻す

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」2007 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア4|心身の反応

心のケア4 トラウマティックストレスに起因した 「心身の反応

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

●恐ろしい災害や事件を経験した後で感情の揺り返しが来るのは良くあることであり、
ごく正常な事です。
この感情の揺り返しはトラウマティックな災害や、事件の直後に現れることもあり、
数時間、数日、あるいは1カ月経過してから現れる事もあります。

●元来、ストレスは危険な状況に対する警告の意味があり、
生体は危険に対処しようとして、
反射的に交感神経が作動して血圧や脈拍を増したり、
筋肉を緊張させて身構える体制になり、
ストレッサーという外的負荷に対しての侵襲を
和らげようとします(適応機制・防衛機制)。

このような緊張状態が消失せず持続すると、
ストレスから心や身体の病気が引き起こされます。

トラウマティックストレスによる 『心身の反応』 には、次のような反応が見られます。

◆1、感情・思考の変化
・信じられない出来事が起こったために茫然としてしまい、何がどうなっているのか、
何をどう考えれば良いのか、自分自身が直面した現実を受け入れられないといった
心の状態になったり、悲嘆、落ち込み(うつ)、感情が麻痺したようになり、
混乱することがあります。

・災害や事件を引き起こしたものに対しての怒り、イライラが生じ、
その災害や事件についての感情の波を抑えきれなくなって、突然、涙が出てきたり、
自分自身を責めたり、自分に原因があるのではないかという
非現実的感覚に襲われることもあり、災害や事件について考えられない時期と、
強く考えてしまう時期が繰り返します。

◆2、身体の変化
・不安、恐怖のために眠れなくなったり、頭痛、腹痛、咽の渇き、寒気、
吐き気、湿疹、けいれん、嘔吐、めまい、胸の痛み、高血圧、動悸、
筋肉の震え、歯ぎしり、視力の低下、発汗、息苦しさなどが出現する事があります。

◆3、認知・感覚の変化
・方向感覚を喪失したり注意力が続かず集中する事が困難になる事があります。
過度の緊張状態や過覚醒、決断力の低下、身構え、悪夢、災害や事件の事が、
頻繁に頭をよぎる事も多くみられます。

◆4、行動の変化
・睡眠リズムの変化による睡眠障害、食欲不振や逆にたくさん食べすぎたり、
薬やアルコールへの依存、なかなか行動がスムーズにできなくなったり、
社会から引きこもるなどもみられます。

※ これらの症状の中には医師による診察が必要な場合もあります。
疑わしい場合は受診が必要です。
受診できる環境にない場合は避難所巡回中の支援スタッフへご相談ください。

※以上、災害時の心のケアにお役立て頂けましたら幸いです。

心のケア3|サバイバーズ・ギルト

心のケア3 「サバイバーズ・ギルト」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)とは

戦争や災害、事故、事件、虐待などに遭いながら、
奇跡の生還を遂げた人が、
周りの人々が亡くなったのに自分が助かったことに対して
しばしば感じる罪悪感のこと。

「サバイバー」(survivor)は「生き残り・生存者・遺族」を意味し、

「ギルト」(guilt)は「罪悪感」を意味する(英語)。

【被災者の「サバイバーズ・ギルト」を理解するために】

台風の被害を受けながらも命が助かった方は、
その幸運による罪悪感に苦しめられることがあります。
この罪悪感は「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれます。

安易な慰めの言葉で傷つけてしまうことがないよう、
深い苦しみを抱える方の気持ちを少しでも理解し、
支えていくために必要なことを考えましょう。

【被災で生き延びられた方々の苦悩】

●「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」

生存者は命が助かったことによる苦しみを抱えることも多いのです。
自分の命は助かったものの親しい方の安否が分からず、
不安と心配で夜も眠れない毎日をお過ごしの方がたくさんおられます。
被災地では、一瞬の差が生死を分けることもあります。
今回の台風被災地でも誰かを助ける犠牲となった方々がおります。

そのような壮絶な体験の中で助かった生存者の方の中には、
自身の幸運に感謝しながら罪悪感に苦しめられてしまう方もおります。

「どうして私だけ助かってしまったのだろう」(苦悶)
「私が彼(彼女)の命を犠牲にしてしまった」(罪悪感)
「私さえいなければ彼を死なせることはなかったのに」(後悔)
「年老いた私が援助してもらうなんて申し訳ない」(自己否定)

このように、台風や震災、事故などの被害に遭い、
命が助かった幸運によって「罪悪感」にさいなまれることを
「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」と言います。

※’95年の阪神大震災や’05年4月25日に発生した
兵庫県のJR福知山線脱線事故に遭遇した生存者の間に、
このような罪悪感を抱えることがわかり注目されるようになった問題です。

災害時の心のケアにお役立て下さい。

心のケア2|被災した人のケア

心のケア2 「被災した人をケアするために」 (周囲の皆様へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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◆1、何はともあれ休息をとってもらうことが第一です。
焦らずに、きちんと休みをとれるように配慮しましょう。

・特に睡眠は大切です。
普段よりもたくさん取ったほうが良いと言われていますが、
環境によって難しい場合は、「こまめに横になって休息すること」や、
「数分でも良いので目を閉じる」等、
ご提案してみるのもひとつの方法です。

◆2、安全感、安心感を与えるように努めましょう。

◆3、被災者が安心して気持ちを言葉にすることができ、
感情を吐露できるように、そっと包み込むような雰囲気づくりが大切です。

◆4、被災者ひとりひとりのニーズとペースに合わせて、
状況と気持ちをつかんで行きましょう。

・話を聴き、気持ちをそのまま受け止めましょう。
決して急がせずにゆっくりとその人のペースで少しづつ
気持ちを言葉にしてもらいましょう。
根掘り葉掘り、質問攻めにしてはいけません。

◆5、解決ではなく気持ちを共有、共感できること、
お互いに人として繋がっているという信頼感、連帯感を
感じてもらうことが肝心です。

・自然にわいてきてしまう感情を抑え込まずに、泣いたり、
怒ったりしても良いと伝えましょう。

◆6、今まで経験したこともない様々な反応や状態は、
トラウマティックストレスへの反応として当然であり、
自分が弱いわけでもおかしいのでもないことを知ってもらい、
自分を責め過ぎないように話しましょう。

◆7、”回復を信じる” ことが大切です。

・ケアを粘り強く一貫して行なうことによって、心の傷が少しづつ癒され、
やがては惨事の痛ましい記憶や感情に支配されたり、圧倒されることがす少なくなります。

・徐々に被災体験を心の中で処理する事ができるようになり、自分を取り戻すことができます。

(※専門医の受診を必要とすることがあります)

心のケア1|喪失の受容

心のケア1 「喪失を受容するために」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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【喪失を受容するための5つのプロセス】

●私たちはどのようにしたら、安定した境地に達することができるだろうか。
どうすれば、ありのままの現実を見つめることができるのだろうか。

私たちに投げつけられる喪失、変化、新しい出来事を、
どのように受容して行けばいいのだろうか。

最初から、まったく逆らわず、わめくこともなく受け入れることはできないだろう。
物事を受け入れる場合、私たちは5つの段階を経過しながら進んで行く。

●アメリカの精神科医 「エリザベス・キューブラー・ロス」(1926~2004)は、
「究極の喪失」を、人間はどのようなプロセスを通して、
受け入れていくのかを明らかにした。
彼女はそれを、 ”悲嘆のプロセス” (グリーフワーク)と呼んだ。

●メンタルヘルスの分野では、死にかぎらず、いかなる喪失に直面する時でも、
同じようなプロセスをたどることが明らかになってきた。

例えば、1万円札をなくしたとか、待ち望んでいたメールが今日も来なかったといった
小さな喪失の場合にも、離婚、配偶者の死別、失業のような大きな喪失の場合にも、
同じようなことが起こるし、新しい家を購入して古い家を去る場合のように、
好ましい変化(結婚や新居への引っ越し等)の場合にすら、起こりうることである。

●エリザベス・キューブラ・ロス女史の明らかにした「5段階のプロセス」

◆第1段階:否認と隔離

予期しない衝撃的なニュースをきかされた時、現実に起こった時、
そのショックをまともに受けないために、まず否認がおこる。

◆第2段階:怒り

喪失(死)という現実を認めざるえなくなると、
次に怒りや恨みがこれに取って代わるようになる。
「なぜ俺だけこんな目に会わなくてはならないのだ!」

この怒りが八つ当りとなって他者に向けられる。

◆第3段階:取引

次に人は神や仏に対して、失ったものをどうしたら取り戻せるか、
又は、延命できるか取引し始める。

例: 「もう何もいりませんから家族を還してください」
例: 「この出来事が夢でありますように(夢であって下さい)」云々。

◆第4段階:抑うつ

以上の段階を経て、それらが無駄であることを知り当事者はうつ状態に陥る。
現実を直視し、無力感が深刻となる。

それとともに「かけがえのないもの」との永遠の別れを覚悟するために、
他人から癒されることのない絶対的な悲しみを経験しなければならない。

◆第5段階:受容

自分自身の現実、現状を、静かに見つめることのできる受容の段階に入る。
最終的に「喪失」を静かに、そして穏やかに受け入れる段階。

【受容】

・受容は格別に快適というわけではない。実際は苦痛を伴う。動揺を禁じ得ない時もある。
・受容へのプロセスが始まる時、私たちはショックを受け、パニック状態に陥ることが多い。
・段階をすすむにつれて、混乱したり、傷つきやすくなったりする。
・さびしく、孤立感をつのらせる場合もある。

まだ受け入れていない事実について、
私たちは、このようなプロセスを通過して受容して行くのだが、
「悲嘆のプロセス」の複数の段階が同時にやってくることもありうる。

否認、抑うつ、取引、怒りが一度に殺到してくることも考えられる。
自分がある状況を受け入れようと苦闘しているという事実すら、
実感できない時があるかもしれない。

小さな喪失なら、この5段階のプロセスを通過し終えるのに
30秒ほどで済むかもしれない。
重大な喪失の場合は、数年間かかるかもしれない。個人差は大きい。

しかも、この5段階はあくまでも図式モデルであって、
誰でもこのプロセスを正確にたどるわけではない。

時には、途中で一つ前の段階へ戻ったり、
二つ先の段階へ飛んだりと行ったり来たりすることもあるだろう。

怒りから否認へ、否認から取引へ、さらに取引から否認へ戻るといった具合に。
いずれにしても、私たちは速度や道程には関係なく、
この段階を進んでいかなければならない。

エリザベス・キューブラー・ロスは、それが正常なプロセス(過程)であるばかりでなく、
必要不可欠な過程であり、全段階が必要だと述べている。

※災害時 『心のケア』 にお役立て下さい。

双極性障害

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)

・エネルギーの高まった「躁状態」(そうじょうたい)
・エネルギーの低下している「うつ状態」
この2つの気分のアップダウンが大きい病気です。

躁(そう)状態では本人が苦痛や問題意識を持つことがなく自覚がありません。
医療機関を受診される方は、ほとんどがうつ状態です。(家族や職場の方に促されて等)

◆双極性障害はⅠ型とⅡ型に分類されています(躁状態の程度によって診断される)
・Ⅰ型は「躁状態」と「うつ状態」
・Ⅱ型は「軽躁状態」と「うつ状態」で気分の波がみられます。

*躁状態:本人は気分が良いが、周囲は疲弊する
*うつ状態:本人はつらいが、周囲は休める

そして気分の波が本人の苦痛を増強させてしまいます。
近年は薬の選択肢が拡がり、ご本人が治療に取り組み、
「ちょうどいいところで安定を目指す治療」に変化してきています。
薬で気分のアップダウンの振り幅を小さくして行き、
上手に付き合っていくことを目指します。

その為には以下のことを理解していく必要があり、
本人及び家族や関わる人々の理解が重要です。

・治療は継続的に受けなければならない
・お薬は焦らずに使っていく必要がある
・規則正しい生活をする
・ストレスとのつきあい方を知る
・病状の移り変わりの状態をしっかり掴んでおく
・社会生活を少しずつ拡げて行く

⇑ 

本人だけでは上手く進まないことが多いので状況に応じて、
家族や周囲の方々のサポート、声がけ、働きかけ、
職場では、産業医や人事面談等で状況確認が必要になります。

◆「双極性障害」を理解するための参考(診断基準の把握)
・双極性障害Ⅰ型:躁病エピソード+抑うつエピソード
・双極性障害Ⅱ型:軽躁病エピソード+抑うつエピソード

●躁病エピソード
気分が持続的に異常に高揚し、開放的、易怒的になる。
亢進した活動や活力がある。
このような期間が少なくとも1週間、ほぼ毎日続く。
以下のうち少なくとも3つ(気分が易怒性のみでは4つ)を認める。

①自尊心の肥大・誇大
②睡眠欲求の減少
③普通より多弁・しゃべり続けようとする切迫感
④観念奔逸・いくつもの考えがわいてくる
⑤注意散漫
⑥目標志向性の活動・精神運動焦燥
⑦良くない結果につながる活動に夢中になること
社会的・職業的機能に著しい障害を引き起こしている
何らかの物質によるものではないこと

●軽躁エピソード
気分が持続的に異常に高揚し、開放的、易怒的になる。
亢進した活動や活力がある。
このような期間が少なくとも4日間、ほぼ毎日続く。
以下のうち少なくとも3つ(気分が易怒性のみでは4つ)を認める。

①自尊心の肥大:誇大
②睡眠欲求の減少:眠らなくても活動的に過ごせる
③普通より多弁:しゃべり続けようとする切迫感
④観念奔逸:いくつもの考えがわいてくる
⑤注意散漫
⑥目標志向性の活動:精神運動焦燥
⑦まずい結果につながる活動に夢中になること
・症状がないときとは異なり、明らかに機能的変化がある
・変化が他者から観察できる
・社会的、職業的に著しい障害を引き起こしたり、入院を必要とするほどではない
・物質によるものではないこと

●抑うつエピソード
以下の症状のうち5つが2週間の間に認められ、そのうち少なくとも一つは①か②

①抑うつ気分
②興味や喜びの喪失
③体重の増減・食欲の異常
④睡眠障害
⑤精神運動焦燥・精神運動制止
⑥疲労感・気力低下
⑦無価値観・罪責感
⑧思考力低下・集中力低下
⑨希死念慮:死にたい気持ちが強くなる
苦痛が明らかか、社会的・職業的な機能障害を認める
物質によるものではなく、その他の病気によるものでもない

【補足】
※④睡眠障害が起こっていると、⑨希死念慮が出やすくなるため、睡眠が重要になる訳です。

※睡眠障害とは、眠れない(入眠困難)、短時間で目覚める、起床時も疲れが取れていない、熟睡感がない、早朝に目覚めてしまう、などの症状、状態が、2週間以上連続している場合を指します。(睡眠障害の診断基準)

※双極性障害という病気は、長期間にわたって症状を繰り返す病気です。
このような病気であるがゆえに、無くそうと必死になって頑張ろうとすると、ますます苦痛が大きくなって行きます。

双極性障害を治療していく過程では、病気を受け入れて付き合って行く、という気持ちに切り替えていただくことが必要で、切り替えにより症状も安定して行きます。双極性障害とは戦うのではなく「付き合って行こう」という考え方の方がうまく行くのです。

双極性障害は原因はよくわかっていないのですが、何らかの脳の機能的異常によって気分に波が生じると考えられています。そのため、薬によって「気分を安定」させることが大切、ポイントです。従って本人はもちろんのこと、家族や周囲の方々の理解とサポートも必要になります。

公認心理師|国家資格

公認心理師法(国家資格)は、
平成27年9月9日に議員立法により成立し、9月16日に公布され、
平成29年9月15日に施行されました。

☆第1回公認心理師 国家試験は、平成30年9月9日に実施されました。
【2018年9月9日 第1回公認心理師試験結果】
・受 験 者 数   35,020人
・合 格 者 数   27,876人
・合 格 率   79.6 %

※公認心理師法(平成27年法律第68号)に基づき実施した、
第1回公認心理師試験(追加試験)平成30年12月16日実施の結果等

☆第1回公認心理師 国家試験(追加試験)は、平成30年12月16日に実施されました。
【2018年12月16日 第1回公認心理師試験結果】※追加試験:北海道
・受 験 者 数  1,083 人
・合 格 者 数    698 人
・合 格 率    64.5 %
(※追加試験は北海道の台風被害により設けられた)

☆第2回公認心理師 国家試験は令和元年8月4日に実施されました。
【2019年8月4日 第2回公認心理師試験結果】
・受 験 者 数  16,949 人
・合 格 者 数   7,864 人
・合 格 率   46.4 %

【公認心理師】
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、
公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、
心理学に関する専門的知識及び技術をもって、
次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、
   その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、
   指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

公認心理師法概要

【目的】
公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、
もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

【定義】
「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、
公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、
心理学に関する専門的知識及び技術をもって、
次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

① 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
② 心理に関する支援を要する者に対する、
  その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
③ 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、
  指導その他の援助
④ 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

【国家試験】
公認心理師として必要な知識及び技能について、
主務大臣が公認心理師試験を実施する。
受験資格は、以下の者に付与する。

① 大学において主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、
  かつ、大学院において主務大臣指定の心理学等の科目を修めて
  その課程を修了した者等
② 大学で主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、
  卒業後一定期間の実務経験を積んだ者等
③ 主務大臣が①及び②に掲げる者と同等以上の
  知識及び技能を有すると認めた者

【義務】
1 信用失墜行為の禁止
2 秘密保持義務(違反者には罰則)
3 公認心理師は、業務を行うに当たっては、
  医師、教員その他の関係者との連携を保たねばならず、
  心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治医があるときは、
  その指示を受けなければならない。

【主務大臣】
文部科学大臣及び厚生労働大臣

【経過措置】
既存の心理職資格者等に係る受験資格等について所要の経過措置を設ける。

【公認心理師】(こうにんしんりし)とは、
公認心理師法を根拠とする日本の心理職国家資格である。

【心理職の国家資格】
名称独占資格として規定される(第44条第1項)とともに、
資格創設(全面施行)以降、公認心理師の有資格者以外は、
「心理師」という文字の使用禁止が規定された(第44条第2項)。

◆公認心理師は、現行の「臨床心理士」と同様、
教育、医療・保健、福祉、司法・矯正、労働・産業、学術・研究など、
多岐にわたる活動領域を想定しており、
特定の分野に限定されない「汎用性」「領域横断性」を特長とする
心理職国家資格を旨とするものである。
そのため、文部科学省と厚生労働省による共管とされ、
主務大臣は文部科学大臣と厚生労働大臣と規定されている。

◆公認心理師が行う心理的行為としては、
「心理検査」「カウンセリング」「心理療法」といった
「心理的支援」や「コンサルテーション」、「心理教育」等を想定して、
「一、心理に関する支援を要する者の心理状態の観察・分析」
「二、心理に関する支援を要する者との心理相談による助言・指導」
「三、心理に関する支援を要する者の関係者との心理相談による助言・指導」
「四、メンタルヘルスの知識普及のための教育・情報提供」の4種が掲げられている(第2条)。

この点は現行の臨床心理士の専門業務
(①「臨床心理査定」②「臨床心理面接」③「臨床心理学的地域援助」
④「①~③に関する調査・研究」)を鑑み、規定された。
但し、公認心理師は臨床心理士にとって変わるものではなく、臨床心理士の資格は今後も残り、公認心理師と共存していくものと考えられている。

傾聴術|トマス・ゴードン

援助者を目指す傾聴術1 

~受動的な聴き方~

■良い援助者とは

・誰か他の人の手助けをするというのは、相手の成長を促し、役立つ変化をもたらすチャンスです。
あなたにとって、大切な人の手助けに成功すれば、あなたがそのために費やした時間や思いやりは、二人の関係をさらに深め、長続きさせるという形で報いられます。

・問題を抱えてあなたの助けを求めに来た人に対して、良い効果のある援助を与えるためには、何が必要でしょうか。

・効果的な手助けには、少なくとも3つの基本的要素(カール・ロジャース理論)があります。

1、受容:相手をあるがまま受け入れる

2、共感:自分を相手の立場において、相手の感情を体験する

3、自己一致(ほんもの):正直で率直な関係をもつ

■受動的な聴き方

・相手が問題を抱えている時、相手の高ぶった感情がおさまるように手助けする効果的な方法のひとつは、受動的な聴き方による対応です。
これは、あなたが相手を受け入れ、認めていることを示し、相手に話を続けるようにと励まします。受動的な聴き方による対応は下記のようなものです。

1、そばにいる
・相手が問題を持つことを知った時、物理的にそばにいて、相手と向き合い、目を見つめている事で、あなたの聴く姿勢を相手に感じさせる事ができる。

2、沈黙
・相手が問題を見つめようとしたとき、あなたが黙って聴くことができれば、相手にとって大きな助けや変化、気づきにつながります。

3、あいづち、うなずく
・あなたが、相手に注意、関心を持っていることを示すことができます。
・ある程度まで、あなたの、受容と共感を相手に伝えます。

4、繰り返し(相手の話した言葉を一部くりかえす)
・この対応は、相手の考えや思いや感情を、さらに深く話すことを促進します。

5、気持ちをくむ
・相手の感情に対し、あなたの受容と理解を表わし、援助したいと思っていることを伝えます。
「言葉にならないくらい辛かったのですね・・」
「これからどうしたら一番良いのか、一緒に考えていきませんか?」

※このような受動的な聴き方による対応は、相手に受け入れられたと感じさせ、信頼関係が深まるため、コミュニケーションを継続させる効果があります。

◇仙台心理カウンセリングにて開講中の心理学講座では、以上のような技法を「体験実習と反復実習」にて身につけることを目指した「カリキュラム」構成としています。

援助者を目指す傾聴術2  

~能動的な聴き方~

■能動的な聴き方

・能動的な聴き方は相手が問題を持った時に、その人を援助するための技法です。
・援助しようとするときの基本的な方法は、受容と共感を伝えることです。
・あなたの欲求を満たすために相手と関わる事と、相手を援助するためにあなたが関わる事では、態度が全く異なります。

1、あいづち・うなずく

2、くりかえし

3、ドアオープナーのことば
(解読した結果、効果的と思われるフィードバックを行う)

4、要約・言いかえ

5、気持ちをくむ(相手の感情に耳を傾ける)

■ 【質問技法】

・開かれた質問を心がける

1)閉ざされた質問

・はい、いいえで答えることができる
・自分が関心のある問題だけをきいていく傾向があり、情報が偏りがちになる点に注意する。
・口の重い相手や、必要な情報を得る時には有用。

2)開かれた質問

・「~とはどんなことですか?」「~について話していただけませんか?」という話の主導権を相手に与える。
・こちら側(カウンセラー)の思惑を気にすることなく、相手の考えていること(真実・本心)を、自由に表現する機会を与える。
・相手の問題を引き出し、感情に注意を集中させていく時などに用いる。
・出来事について感情体験を、相手(本人)に気づかせる。
・相手にとってそれは、どんな「感情」「気持ち」だったのかを質問する。
 
※アメリカのトマス・ゴードン(1918年~ )が唱えた「親教育のプログラム」には、「望ましいコミュニケーション」という、子どもとのコミュニケーションのあり方について学ぶものがあります。

■望ましいコミュニケーション

1:相手が問題を抱えている時は、必ず「何かあるな」と感じさせる言葉や態度を示す。

2:そのサインを「何かあるな」「何だろう」と読み取り、相手の感情や考えるだろうと、推察したことを言葉にして相手に返し、相手がそれを実際に感じているかどうかを確認する。

3:相手は、こちらが確認したことが正しければ、コミュニケーションを先にすすめる。

また、こちらが確認したことが間違っていれば、それを否定して、より明確なサインを送ってくる。

◇仙台心理カウンセリングにて開講中の心理学講座では、以上のような技法を「体験実習と反復実習」にて身につけることを目指しカリキュラム構成しております。

交流分析|エリック・バーン

交流分析 TA(Transactional Analysis)は、
アメリカの精神科医:エリック・バーンが創始した心理療法です。

【TAの特色】

1:全般に簡潔で難しい用語を用いず、努めて多くの人々に理解しやすくできている。
2:自分の姿を現象的にとらえ、客観的にみるための工夫がなされている。
3:自分自身の性格形成の過程を探る作業が含まれている。
4:他人との交流パターンに気づき、改善方法が学べる。
5:TAは理論や方法のどこからでも学べ、学習後すぐに活用できる。

*交流分析を学習することにより、自己理解が深まってくると、相手の行動や性格についても、よりよい理解が可能になるので、対人関係が改善されて行きます。
*交流分析は医療、医学界ばかりでなく、家庭、教育界、産業界でも、取り入れられています。

【交流分析の主な考え方】

1,人は誰でも3つの「私」(自我状態)をもっている
2,他人と過去は変わらない、他人を変えるより、自分を変えるほうがはるかに生産的である
3,私たちは自分の感情、思考、行動の責任者となり、「今、ここ」 という次元を生きる

【交流分析の目的】

1:自分への気づきを深めることにより、心身の自己コントロールを可能にすること。
2:自律性を高めることで、自分の考え方、感じ方、さらには行動に責任をもつまで成長すること。
3:こじれる人間関係に陥らず、互いに親密な心のふれあいを体験できるようになること。

【4つの基礎理論】

1,構造分析(感情、思考、行動をP、A、Cに基づいて自己分析する方法)
2,交流パターン分析(自分と他人のやりとり分析)
3,ゲーム分析
4,脚本分析

【3つの理論背景】

1,ストローク(その人の存在や価値を認めるための言動や働きかけ)
2,時間の構造化(閉鎖、挨拶、雑談、活動、ゲーム、親密)
3,基本的構え(人間と人生に対する態度)下記4タイプ

●Im OK. You are OK
●Im not OK. You are OK
●Im OK. You are not OK
●Im not OK. You are not OK

◇∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇

◆交流分析の主な基礎理論は大きくわけて4つあります。

【4つの基礎理論】

1,構造分析(感情、思考、行動をP、A、Cに基づいて自己分析する方法)

・自己分析(自我状態分析)は、エゴグラムを使って、自分のこころがどのようなバランスで形成されているかを5つの性格傾向
(自分の中に5人の自分がいる、という考え)から分析します。

自分は「どんなタイプか?」「どの感情傾向が強いか?」「何が感じやすく、何を感じにくいか?」
「幼少時からの親との関わりの結果、どんな性格になったのか」(成育歴の影響)など自分の性格傾向(状況)について分析していきます。

これを学ぶと、自分の性格ができたプロセスや原因などが理解でき、自分の無意識の行動パターンにも気づくことにつながるため、自己コントロールが可能になる方が多いのが特徴です。

2,交流パターン分析(自分と他人のやりとり分析)

・コミュニケーションするには複数の人が必要です。それぞれその人たちもみんな自我状態(5人の自分)を自分の中に持っています。
それぞれが、5人の中のどの部分(あるいは誰)が主導権を持って話しているか、聞いているかによって、会話の中身が変わってきます。
この交流パターン分析では、コミュニケーションする人物が5つのどれを使ってお互いにやりとりしているかを分析します。

【主な交流パターン】

●相補的交流:コミュニケーションが長く続く会話(ベクトルが平行なやりとり)
●交差的交流:途中で途絶えてしまう会話(ベクトルが交差的なやりとり)
●裏面的交流:裏のある会話(裏面的:りめんてきなやりとり)

特にうまくいかない自分自身のパターンを分析して、うまくいくパターンに修正して行きます。

3,ゲーム分析(心理ゲーム)

無意識のうちに行っている最終的にうまくいかない、こじれるやりとり。
「繰り返されるネガティブなコミュニケーションパターン」を分析し、修正していきます。

ある特定の人物と、事柄、きっかけは違うが、ほとんどがうまくいかず、けんかになったり、責められたり(責めてしまったり)する関係になる。
最後は「怒り」「不愉快」「後悔」「自信喪失」など、不快な感情を報酬として受け取る。このようなコミュニケーションが、心理的ゲームです。

親しい関係ほど起きやすいこの「心理的ゲーム」を分析します。
心理ゲームは生産的ではありませんので、理論を通してゲームを止める方法を学びます。

※人は他人と深く関わりたいと感じ、無意識に「心理的ゲーム」をしてしまうことがあるのです。

4、脚本分析(人生脚本分析)

自分自身の「人生のシナリオ」を分析し、不適切なシナリオを手放し、より良いシナリオに書き換えていきます。
交流分析の理論では、私たち人間は、9~12歳頃までに、「これからの人生どう生きていくか」というシナリオ(人生脚本)を書くと言われています。
これらのシナリオ(人生脚本)は大きく分けると3種類あり「勝者」「敗者」「どちらでもないもの」があります。

勝者⇒「お金」「財産」「地位」などでなく、「自分の能力や可能性を発揮して生き生きと生きている人」(自己実現)
敗者⇒「自分の能力を発揮せずに、私はダメだ・・私はできない・・」といいながら生きている人
どちらでもない者⇒「時々勝ったり、時々負ける」しかし全体を見てみると”勝ってもいないし、負けていもいない”という人。

自分の脚本を点検・確認・自覚し、敗者の脚本を手放し、望む脚本(勝者の脚本:自己実現の脚本)へ修正して行くことを目指します。

【その他の理論】

◆ストロークとディスカウント
他者(自分)との関係の持ち方のクセを分析し、よりよい人間関係の構築を目指します

◆時間の構造化
他者との交流の度合いから人間が行う時間の構造化(使い方)を分析します。

【時間の構造化】

引きこもり→儀式(挨拶など)→ひまつぶし(うわさ話など)→活動(仕事など生産的活動)→ゲーム(活動よりも深いのです!)→親密さ
心理ゲームを止めれば、親密さに移行できます☆

・仙台心理カウンセリング&スクールの心理学講座は、理論を使いながら、受講生自ら、不都合な交流パターンに気づき、修正していくことが可能なカリキュラム構成となっております。

自我状態

P・・・親の自我状態(Parent)
A・・・大人の自我状態(Adult)
C・・・子どもの自我状態(Child)

【自我状態の機能モデル】

1 P 理想を追う私

   自分の親や養育者から受け継いだ行動、思考、身振りによって自分を表現します。
   Pは次のふたつに分けられます。

 CP(Critical Parent)批判的な親
   理想を追求し、責任感も強く、まじめで一所懸命に努力する部分。
   これが高いと判断力も強くなり、懲罰的で創造性を抑えてしまいますが、
   社会秩序やルールを守り社会に適応していくには大切なもの

 NP(Nurturing Parent)養育的な親
   思いやりが強く、面倒見が良い保護的な部分。寛容で愛情深く、
   相手に幸福感や満足感を与える。
   これが強すぎると過保護やおせっかいになりやすくなる。

2 A(Adult)大人の心

   冷静な事実中心主義。現実を客観視するためにあらゆる角度から情報を収集し、
   論理的検討を重ねて決断する大人の心でデータ処理のコンピューターのような
   働きをする部分。
   これが高すぎると打算的で冷たく情緒に乏しい人間味に欠けた人になるおそれがある。

3 C(Child)子供の心

   その人が子供時代に行動したり、考えたり、感じたりしたのと同じような状態にある時の
   自我状態をいう。Cは次のふたつに分けられます。
   
 FC(Free Child)自由な子供
   親の影響を受けていない、生まれたままの自然な状態で、明るく自由奔放な部分。
   直感的で快感を求めていきいきと行動する。創造性の源で、心身の健康に不可欠。
   これが極端に高いと、わがままで利己主義になる。
  
 AC(Adopted Child)順応した子供 従順な子供
   いわゆるイイ子の部分です。小さい頃から周りの人たちの愛情を失わないため、
   周囲の期待や規則に合わせる部分。協調性が高い分、自分の感情を抑え、社会の規範に
   沿って行動する傾向を持ち、それが強くなりすぎるといやなことを嫌と言えずストレスを
   心の中に溜め込みやすくなる。反対に周囲の期待や規則への反応として反抗的な行動をとる
   のも、順応した子供の自我状態に含まれる。

【エゴグラム】:5つの自我状態

エリック・バーンの交流分析では、親らしさのP(Parent)、大人らしさのA(Adult)、子供らしさのC(Child)の3要素(3つの自我状態)を用いた。
ジョン・M・デュセイ(アメリカの心理学者)は、Pをさらに批評的な親であるCP(Critical Parent)と養育的な親であるNP(Nurturing Parent)に。
Cをさらに自由奔放な子供であるFC(Free Child)と従順な子供であるAC(Adapted Child)に細分化し、5つの自我状態を分析した。

日本では東大式エゴグラム(TEG式:テグ式)によりグラフで表示することが考案されたことで、自己分析法として広く一般に知られることとなった。

【5つの自我状態】 ~心の中には5人の私がいる~

親の心(P)は親などの影響を受けて形成され、CPとNPに分けられる。

【CP】・・・(厳格な親の心):道徳的、倫理的、厳格
信念に従って行動しようとする父親のような心。自分の価値観や考え方を譲らず、厳しく、批判的である。

【NP】・・・(保護的な親の心):温かさ、愛情、過保護
思いやりをもって他者のために世話をする母親のような心。優しく、受容的である。

大人の心(A)は科学的な思考・行動の自我状態。
【A】・・・(大人の心):現実的、客観的、人情味に欠ける
事実に基づいて検討・判断する大人の心。冷静で客観的である。

子供の心は(C)子供の自由な感情・環境へ反応の自我状態で、FCとACに分けられる。

【FC】・・・(自由な子供の心):自由奔放、明るい、自己中心的
自分の欲求・感情に従って行動する自由な子供のような心。明るく、無邪気である。

【AC】・・・(従順な子供の心):素直、協調性あり、依存的
自分の感情を抑えて他人に良く思われようとする従順な子供の心。

【エゴグラムで自己分析】

自己分析方法としては東大式エゴグラム(TEG式)が知られている。
質問紙法で、50の質問に答えて行き、最後にそれを集計し点数化したものを、CP、NP、A、FC、ACの順に点数を基にグラフにする。
グラフから各自我状態の強弱・性格の傾向を知ることができる。
点数が高い自我状態はその自我状態の傾向が強いということであり、低いものはその傾向が弱いということである。

例)NPが高い場合は優しくて思いやりが強い、低い場合は思いやりに欠け、冷たいというように判断できる。

一般的に、子供の頃はCPやNPが低くFCやACが高いため右上がりになり、年を重ねるとCPやNPが高くなりFCやACが低くなるため次第に右下がりとなる。
日本人ではNPが最も高い型でCPA>FC>ACとなる「への字型」が最も多くかつ理想的とされ、欧米ではAが最も高い「山型」が最も多くかつ理想的であるとされる。
弁護士やカウンセラーなどは「山型」の人物が多い。業務上では、意識的にAを使って関わる事も可能になる。
Aを高め、「山型」を確保できると「心理ゲーム」に陥りにくく、人間関係も仕事もスムーズに進みやすくなる傾向を持つ。

【自我状態】

自我状態というのは、思考・感情・行動の一貫したもので、
「批判的な親 CP」
「養育的な親 NP」
「大人  A」
「自由な子ども(自然な子ども) FC」
「従順な子ども AC」

以上、5つに分類します。

※「RC:反抗する子ども」を加えて6つに分類し分析するものもあります。
ここでは日本人向けに編集された参考文献「わかりやすい交流分析」を基にしています。

・自我状態の中で「親」「大人」「子ども」の3つを、効果的な自我状態と呼び、この3つの自我状態を、バランス良く使うようになることを目指します。
・エリック・バーンは自我状態のことを、感情と経験の首尾一貫したパターンと、直接それに対応する一定の行動パターンを伴うもの」と定義。
・エゴグラムでは、自分の中に「5人の自分」がいると仮定します。

私たちは誕生した時、生きていくのに最低限の機能(ソフト)しか備わっていません。
従って、私たちは、誕生の瞬間から「性格」(パターン)が創られていくという理論です。

自分の中の『子ども』。
0~3歳の時に中心的に形成される「子ども」の性格/パーソナリティです。
これをC(Child)と呼びます。これも更に3つに分かれています
  自然な子供/FC=Free Child、
  従順な子供/AC=Adapted Child
  反抗する子供/RC=Rebellious Child

0~3歳の時は、言葉はほとんど理解できないため、両親や周りの大人達の「表情」やしぐさ、、
身体的接触(なでられたり、だっこされたり、あるいは叩かれたり)という刺激で認知・学習します。
これらの外的な刺激によって、脳の中に様々な反応パターンが出来てきます(その人独自の感情的な傾向性)
これをTAではチャイルド(こども)の自我状態と言います。

自分の中の『親』。
3~6歳の時に中心的に形成された「親」の性格/パーソナリティ。
これをP(Parent)と呼びます。これは更に2つに分かれています。
  批判的親/CP=Critical Parent
  保護的親/NP=Nurturing Parent

この『親』の性格は、自分の親を見習って(模倣して)創った性格と言われています。
親のしぐさや考え方などが、気がつかないうちに似てしまう(コピーする)事です。
気づくと、物事に対する反応や言動が両親にそっくりだったことに気づくことがあります。

最後につくられるのが・・・
自分の中の『大人』。
6~10歳を中心に形成された「成人/大人」の性格/パーソナリティ。
これをA(Adult)と呼びます。
  大人/A=Adult

6歳くらいになると、脳が発達し、今までの経験を活かした活動が出来るようになってきます。
過去の経験を分析し、計画をたて、実行する、というようなことです。
冷静に考えたり、判断したりする、A:アダルト(客観的で冷静な大人の部分)の性格です。

このように、TAにおける性格/パーソナリティは、大きく分けると3つ、
細かく分けると5つ(又は6つ)のパーソナリティで構成されています。

自分の中にそれぞれの性格/パーソナリティがどれくらい強いのか、
どんなバランスなのか、を知ることで、自分の性格傾向を理解することが可能です。
これをチェック・確認できるのが「エゴグラム」という心理テストです。

◇∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇◆∞━∞◇

※仙台心理カウンセリング 交流分析講座テキスト

認知行動療法|中級編

認知行動療法

・認知療法とは、アメリカの精神医学者:アーロン・ベック Aaron Beck(1921~ )が開発した心理療法(精神療法)です。
・認知療法は特にうつ病やパニック障害、不眠症等に対して効果をあげています。

◇認知療法における「認知」とは

認知療法では、不快な気分や不適切な行動の生じる背景として、「考え方」の影響を重視しています。この「考え方」のことを認知療法では、「認知」と呼んでいます。たとえば仕事が忙しくなり、残業も増えたとします。多くの仕事を任されたことで自分自身の価値が高まったと考えたり、あるいは残業代が増えたと考えて嬉しいと思う場合もあるでしょうが、逆に仕事が多くなったおかげで疲労感がたまり、大好きな趣味も減らさざるを得なくなり、また家族と過ごす時間が減ってしまったと考えて、落ち込む場合もあるでしょう。このように同じ状況でも、その状況をどのように捉えるかによって、だいぶ気分が変わってきます。「認知」には考え方だけではなく、イメージや記憶、といったものも含まれます。

◇認知療法における「認知モデル

このように、「ある状況においてどのような気分になるかは、それをどのように考えるか次第である」という仮説が、認知療法における「認知モデル」というものです。言い換えると、憂うつになったり不安になったりするのは、出来事そのもののせいではなく、その出来事をどう捉えて、どう解釈したかによるのだ、という理論です。このように考えると、憂うつになったり不安になったりしたときには考え方を少し変えてみればいいことが分かります。

◇うつの「認知の3タイプ」

アーロン・ベックはうつ病の患者が陥りやすい考え方のタイプの3つ「自分と世の中と未来に対する否定的な考え方」を見出しました。
「私は駄目な人間だ」
「世の中は不公平だ」
「これから先は何もよいことはない」といった考え方のことです。

そしてこれらの考え方によって自分を責めてしまったり、世間を恨んでしまったり、将来を絶望的に感じるなどして、憂うつ・怒り・不安といった不快な感情が引き起こされると考えられるのです。

BDIテスト:Beck Depression Inventory (ベックうつ病調査表
BDIテストは、認知行動療法を提唱したアメリカの精神科医アーロン・ベックによって考案されたもので、 抑うつの程度を客観的に測る自己評価表です。定期的にBDI テストを行うことによって、自分自身の気分の傾向を数値として測定します。自分自身を客観的に見つめることができ、うつ病判定のひとつとして医療機関などでも利用されています。

◆認知療法における「認知の歪み(ゆがみ)」

このような不快な感情を引き起こす不合理で非機能的な認知のことを、認知療法では「認知のゆがみ」と呼んでいます。

(1)全か無か思考

これは良いか悪いか、好きか嫌いか、白か黒かのどちらかしかない考え方のこと。実際はその間であることが多いものです。
例:仕事が完全にできていないと気になってしまいます。
相手が少しでも不機嫌だと、「自分のことが嫌いなんだ」と思ってしまいます。
テストで70点をとると、0点をとったときと同じ気分になってしまいます。

(2)破局的な見方

いつも最悪の事態を考えてしまい、ちょっとした困難から大きな破局や不幸な結末を想像してしまうことを言います。
例:家族の帰りが少し遅かったりすると、「どこかで事故にでも遭って死んでしまったんじゃないか」と考え、その後の暮らしを想像して悲しい気持ちになってしまいます。

(3)極端な一般化

たった一回の出来事から全てを決めつけてしまうこと。
例:ひとつのプロジェクトが思ったように進まないときに、過去の失敗を思い出して、自分はいつも失敗すると結論を出してしまいます。

(4)選択的な抽出

良い情報を無視して、悪い情報ばかりを取り上げてしまうこと。
例:発表の時、批評されたことばかりが思い出され、良いコメントをされたことは忘れてしまいます。

(5)プラスの側面の否認

ものごとのマイナスの側面のみを取り上げて意味づけ、プラスの側面は否定してしまうこと。
例:人に長所を指摘されても「そんなところができても何にもならない」と考えてしまいます。

(6)根拠のない決めつけ

根拠がないのに思いつきで判断すること。
例:はじめて手がけた仕事がうまく進まないときに、この仕事はうまくいかないだろうとすぐに決めつけてします。

(7)過大評価・過小評価

事実や出来事を実際よりも高く評価したり逆に軽視したりすること。
例:自分の欠点を人生に支障をきたす大問題とらえ、「自分には欠陥がある」と考えてしまいます。

(8)感情的理由づけ

自分の気持ちや感情を理由にして、そこから出来事や事実を意味づけること。
例:「こんなに不安になるのだから、この問題は解決できないに違いない」と考えてしまう。

(9)「すべき」表現

「~」すべきである、「~しなければならない」といった考えのこと。
例:人間関係がうまくいっていなければならない。怠けていてはいけない。主婦なら家事を完璧にするべきだ。

(10)レッテル貼りと誤ったレッテル貼り(ラベリング)

自分に否定的な言葉のレッテルを貼ること。
例:自分は落ちこぼれだ。自分には欠陥がある。

(11)自己関連づけ

何か悪いことが起きると、本当は関係ないのに自分のせいで起こったのだと自分を責めてしまいます。
例:Aさんがサークルをやめたのは、自分のせいかもしれない。
子どもが学校で問題を起こして担任から注意を受けた時に、全て自分の育て方が悪かったんだと自分を責めます。

(12)自分で実現してしまう予言

否定的な予測や思い込みをすることによって、行動が抑制されてしまうため、結果的にその予測が実現したかのように、当初の否定的な予測が確信になってしまうこと。
例:相手と違う意見を言ったら相手を不機嫌にさせてしまうかもしれない」と考え、自分の意見を言わないでいたら、「何を考えているのかよく分からない」と思われ、本当に相手がイライラしてきてしまった。そしてやっぱりいらいらさせてしまった、と考えます。
例:人前で話そうとすると声が震えるのではないかと心配し、失敗することばかりを考えて自意識過剰になり、声が震えてしまって、結局やはりそうだったと考えます。

【認知療法による実際】

認知療法では、まず自分がどのような考え方をしているのかに気づき、その考え方が自分の気分や行動にどのような影響を与えているのかを知り、そしてその結果、どのような現実が生み出されているのかを十分に理解します。そして、思いつきやイメージで判断するのではなく、根拠をもって判断を下す練習をします。その結果、自由で柔軟性のある見方を獲得することができるようになり、自由に幅のある行動がとれるよう援助するものです。認知療法では、考え方が個人の気分や行動に影響を与えることを示していますが、決して楽観的に考えられるようになることを促しているのではありません。認知療法が最終的に目指していることは、最悪の事態も想定した上で、なおかつ効果的に状況に対処できるようになることなのです。

※仙台心理カウンセリング 心理カウンセラー養成講座:中級編テキスト

◆認知療法における「自動思考

認知は比較的意識の表層にある「自動思考」と、自動思考よりもさらに深層にあって自動思考を生じさせる源となる「スキーマ」(枠組み)に分けられます。自動思考というのは、ある状況で自動的に頭の中に浮かんでくる考えやイメージや記憶のことをさします。たとえば子どもが道をよこぎろうとして車にはねられる瞬間を見たとき思わず「危ない!」と叫びます。
このときの「危ない」が、まさに自動思考です。この場合は声に出ましたが、実際には声に出さずただ頭の中に浮かぶだけのことが多いです。この自動思考は、反射的、瞬間的に頭の中に現れて、非常にすばやいスピードで頭の中を駆け抜けるので、通常は深く考えたり内省したりして生じるものではありません。

「思考」とはいっても、自分で「考えている」という意識は全くないものであり、そういわれてみて初めて「そういえばそう考えていた」と気づくような類のものです。自動思考は現実的に考えてうまれてきたものではないので、中には不合理であったり、特に根拠もなくただ思い込んでいるだけのものであったり、非現実的であったりする場合が多いのですが、それにもかかわらず、それを考えている本人はそれを妥当なもの、現実的なものと考えている点が特徴です。
特に自分に対する考え方などは日常的に自分について考えることは多いので、習慣化しており、この考えの固定化したものが、「スキーマ」(枠組み)と呼ばれるものです。

◆認知療法における「スキーマ
スキーマとは、自動思考が習慣化し、固定化されたものであり、いわば個人の価値観ともいえます。
個人の価値判断の基準でもあり、ほとんどの場合修正は困難で、これはその人の行動や人生の歩み方に多大な影響を与えています。たとえば、「人生人間関係が重要だ」と考える人は、他人との交流に力を注ぎ、これがうまくいくことに喜びを感じるでしょう。一方で親しい人との関係がこじれれば、ひどく落ちこんでしまうでしょう。
また、「人生仕事での成功が重要だ」と考える人は、職場で人と歓談するよりもまず仕事に熱を入れ、仕事で成功すれば喜びを感じ失敗すればひどく落ちこむでしょうが、人間関係のもつれなどにはさほど動揺しないかもしれません。
うつ病では否定的なスキーマが優勢に機能しており、「自分は欠陥のある人間だ」などと自分に対する否定的な考えを、固く信じています。自分自身の価値を高めうるいかなる出来事も、この信念のもとに駆逐されてしまいます。肯定的な出来事よりも否定的な出来事の方を多く思い出し、また肯定的な結末よりも否定的な結末の方を予想するようになります。