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心理学の知識

心のケア8|ストレス反応と心の病気

心のケア8 ストレス反応と心の病気

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

●ストレス反応と心の病気

・ストレス(ストレッサー)に対する感受性は、
性格や行動パターンなどの個人的な特性や、
その時の心身の状態などによって強い影響を受けます。

また事件、震災後、孤立して相談する相手がいないなどの、
社会的・環境的な状況も大きく関係します。

・震災直後はびっくりして頭が真っ白になったような感じになることがあります。
例えば「自分の住み慣れた故郷が壊滅なんてあり得ない、そんな馬鹿なことが・・」
というように、現実でないような感じがしたり、
思い出しても悪夢か映画でも見ているような気がするかもしれません。

◆1、急性ストレス反応
・直後は出来事を受けとめようと思う反面、現実を否定したり拒否したりするものです。
特に親しい人の行方がわからないとか、ひょっとしたら亡くなったかも知れないと思うと、
いてもたってもいられず心臓がドキドキしたり、冷や汗をかいたりします。
その場から逃げ出したくなったり、家族のことが心配でおろおろするかもしれません。

・なかには冷静で驚かないように見える人もいます。
あるいは妙に不自然にはしゃいでいる人もいるかもしれません。
この反応は急激な精神的・身体的負荷がかかると起こりますが、
およそ1カ月以内に消失します。

●急性ストレス障害(ASD)の特徴と、急性ストレス障害(ASD)の診断基準
※心のケア7 をご参照ください

◆2、解離反応(かいりはんのう)
・悲惨な出来事に遭遇したため強烈な精神的衝撃を受けた場合、
現実をすぐには心の中に受け入れる事が出来ず、
自分では気がつかないうちに嫌な感情や耐え難い苦しみを意識下に押し込んでしまい、
その抑圧された心の葛藤が身体症状や精神症状を引き起こすことがあります。

・たとえばあまりにもショックが大きいために、身体には異常がないのに、
声が出なくなったり、立てなくなったりする場合や、赤ちゃん言葉で話し始めたり、
意識がもうろうとすることがあります。

◆3、死別反応
・震災により親しい人を失った場合、落ち込みや憂うつな気分が続き、
怒りをどこにも向けられずに自分を責めたり、
悲しみからなかなか抜け出せない事があります。
なかには後追いしようと考える人もいるかもしれません。
このような気持ちが数カ月続くのはよくあることで、
時間の経過とともに必ず回復してきます。

◆4、外傷後ストレス障害(PTSD)
・震災から1カ月以上経過しても神経の高ぶりがおさまらず、
過覚醒の状態(些細な事にも過敏になり刺激されやすい状態)が続き、
震災の生々しい惨状の現場が頭に焼き付いていて、自分の意思に反して思い出され
再体験されることがあります。このような状態をPTSDと言っています。

・PTSDは強烈で凄まじい体験に起因した反応であるために、
心的なストレスが弱い場合には出現しません。
3か月以内に約半数は完全に回復しますが、それ以上続く場合もあります。

●PTSDの特徴と、PTSDの診断基準
※心のケア5 をご参照ください

◆5、うつ病
・身体的疲労、精神的疲労が続き、環境が変化することは、
うつ病発症の引き金になります。
特に責任感が強く、几帳面で、融通がきかない人は要注意です。

・うつ病の症状は睡眠障害をともなうことが多く、夜中に目が覚めて眠れなかったり、
早く目が覚めたり、寝つきが悪くなったりします。
そして憂うつな気分となり、興味、意欲、食欲がなくなり何をしても楽しくなく、
悲観的になり、自分を責め、生きていても仕方がないと思うようになるものです。

※ こうした症状があらわれた場合には一人で解決しようとせず、
精神科医・心療内科医やカウンセラーなどの
心の専門家に早めに相談することが必要です。
近くに専門家がいない場合は支援スタッフへご相談ください。

心のケア7|急性ストレス障害

心のケア7 急性ストレス障害(ASD)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害の特徴

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害
・事件や事故、災害などの直後からトラウマ反応があり、
その後のPTSD発症が考えられる状態。

●ASD(Acute Stress Disorder)急性ストレス障害は、PTSD発症の前兆
・トラウマ体験から1ヶ月以上経過しないと診断できないPTSDに対して、
体験の直後から診断できるのがASDです。

・ASDの症状がみられる場合、その後PTSDに移行する可能性が高く、
早期の対応が求められます。

●ASDに対応すれば、PTSDを防げる

・トラウマ*によって発症する病気には、PTSDのほかに、ASDというものがあります。
PTSDは事件や事故から1ヶ月以上症状が続かないと、診断されません。

しかし、実際には事件直後からPTSD症状が出て苦しむ人もいます。
そういった人を診断できないからといって放っておくわけには行きません。

・体験直後に解離症状を伴う顕著なトラウマ反応がある場合にはASDと診断して、対処します。
ASDの決め手は「解離症状の有無」です。この症状がある人はPTSD発症が予想されます。

【解離症状】

・感情がまひして、悲しめなくなる
・感情表現が少なくなり、悲しみや苦しみを感じているようにみえない
・自分の心が体から離れてしまったような感覚
・感情や現実感が失われ、何事も実感がわかなくなる
・突然の家族の死がドラマのシーンのように思える
・けがをしたのに痛くない
・こわいはずなのに何も感じない
・ときどきぼんやりして”うわのそら”になることがある
・日によって態度や性格が大きく異なる

◆あまりにもつらいと心が凍りつく◆

・解離症状とは、心が凍りついたような状態になることです。

家族との死別や衝撃的な事件などを体験した時、
その悲しみや苦しみを受け止めきれず、心がかたまってしまうのです。

気持ちが混乱した状態にも関わらず、表面的には平然として、
葬儀をすすめたり、警察の事情聴取に応じたりすることがあります。

◆しばらくたってから急に悲しくなる◆

・解離は多くの場合、一過性の反応(症状)として現れます。
トラウマ体験からしばらくたって、考える余裕ができると、
悲しみを急に強く感じたり、行動する気力を一気に失ったりします。

一過性で終わらず、慢性化するとパーソナリティ障害に陥ることもあります。
いずれにせよ、周囲が解離症状に気づいて、サポートすることが必要です。

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア6|トラウマティック・ストレス

心のケア6 トラウマティック・ストレス

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような例外的に著しく脅威的、
破局的な特質を持ったストレスのことをトラウマ(心的外傷:PTSD)と言います。

●「トラウマティックストレス」とは、
心的外傷を負うような精神的衝撃を引き起こす出来事を指します。

●「トラウマティックな出来事」とは、
人が日常的には経験しない出来事であり、
それは著しく悲惨で恐れや無力感のような強烈な反応を呼び起こします。

●「トラウマティックストレスを引き起こす出来事」とは、
戦闘、テロ、強姦などの性的暴行、身体的攻撃と暴行、略奪、誘拐、監禁、拷問、
大地震、大津波、火山の大爆発、死傷事件、交通事故及び労災事故などに
直接本人が体験した場合、あるいは身内の人や他人への暴行や死傷事件を
目撃した場合などがあげられます。
このような体験をすると様々な心身の不調が見られます。

●心的外傷を引き起こす体験(出来事)の基準は下記のように定義されています。

◇ICD-10(WHO世界保健機関):ほとんど誰にでも大きな苦悩を引き起こすような、
例外的に著しく脅威的、破局的な性質を持ったストレスの多い出来事。

◇DCR-10(WHO世界保健機関):並はずれた脅威や破局的な性質で、
ストレスの強い出来事。

◇DSM-IV-TRの診断基準(米国精神医学会APA)

 a) 実際に又は危うく死ぬ、または重傷を負うような出来事を
   一度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を
   その人が体験し、または直面した。

 b) その人の反応の強い恐怖、無力感または戦慄に関するもの。

心のケア5|PTSD

心のケア5 PTSD

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
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PTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準

【A】 その人は以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある

(1)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、
   あるいは自分又は他人の身体保全に迫る危険をその人が体験し、目撃し、または直面した。

(2)その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
注:子供の場合はむしろ、まとまりのないまたは興奮した行動によって表現されることがある。

【B】 外傷的な出来事が以下の1つ(またはそれ以上)の形で再体験され続けている。

(1)出来事の反復的、侵入的、かつ苦痛な想起で、それは心像、思考、または知覚を含む。
注:小さい子供の場合、外傷の主題または側面を表現する遊びを繰り返すことがある。

(2)出来事についての反復的で苦痛な夢。
注:子供の場合は、はっきりとした内容のない恐ろしい夢であることがある。

(3)外傷的な出来事が再び起こっているかのように行動したり、感じたりする
  (その体験を再体験する感覚、錯覚、幻覚、および解離性フラッシュバックのエピソードを含む、
   また、覚醒時または中毒時に起こるものを含む)
注:小さい子供の場合、外傷特異的なことの再演が行われることがある。

(4)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合に生じる、強い心理的苦痛。

(5)外傷的出来事の1つの側面を象徴し、または類似している内的または外的きっかけに
   暴露された場合の生理学的反応性。

【C】 以下の3つ(またはそれ以上)によって示される、
   (外傷以前には存在していなかった)外傷と関連した刺激の持続的回避と、全般的反応性の麻痺

(1)外傷と関連した思考、感情、または会話を回避しようとする努力
(2)外傷を想起させる活動、場所または人物を避けようとする努力
(3)外傷の重要な側面の想起不能
(4)重要な活動への関心または参加の著しい減退
(5)他の人から孤立している、または疎遠になっているという感覚
(6)感情の範囲の縮小(例:愛の感情をもつことができない)
(7)未来が短縮した感覚(例:仕事、結婚、子供、または正常な寿命を期待しない)

【D】 (外傷以前には存在していなかった)持続的な覚醒亢進症状で、
    以下の2つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)入眠、または睡眠持続の困難
(2)いらだたしさまたは怒りの爆発
(3)集中困難
(4)過度の警戒心
(5)過剰な驚愕反応

【E】 障害(基準B,C、及びDの症状)の持続期間が1ヶ月以上。

【F】 障害は、臨床上著しい苦痛、または社会的、職業的、
   または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

※「DSM-IVーTR 精神疾患の分類と診断の手引」
高橋三郎、大野裕、染矢俊幸/訳 医学書院

PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)

心的外傷後ストレス障害の特徴

●PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)は、
心的外傷後ストレス障害という病気です。

災害や事件などにあって、その体験がトラウマとなり、
生活に支障がでている状態を指します。

●災害や事件、事故による甚大な被害は、
人間の心にトラウマとなって残り、PTSD症状を引き起こします。

PTSDは、もとはアメリカで注目された考え方で、
戦争体験の後遺症として研究されてきた概念です。

それが日本で震災や事件、災害にあった人にもみられることがわかり、
日本でも研究されるようになったのです。

●PTSD、トラウマという概念は、
このような経緯を経て日本社会に普及してきましたが、
まだ理解は十分とは言えず、多くの誤解をともなっているようです。

PTSD症状に苦しむ人が、周囲の誤解によって傷つき、
二次的な被害をうけることも決して少なくありません。

◆大きな災害や事件にあうと、精神的にダメージを受けます。
なかでも傷が深い人は、PTSDなどのストレス反応におそわれ
当時の恐怖を何度も思い出し、苦しみます。

PTSD 主な3つの特徴
*アメリカの精神医学会による診断基準では、PTSDの中核症状は主に3つに分かれています。
3つすべてが1ヶ月以上続く場合にPTSDと診断されます。

【再体験】
・トラウマ体験を思い出す。似たような状況におかれたとき不安や恐怖を感じる。

【回避・まひ】
・体験を思わせるもの、状況、場所、人などをさける。体験のことを思い出そうとしな

【過覚醒】
・小さなことを気にするようになり、なんでもないことで驚いたり、怒ったりする。
・事件のことを思い出して気分が悪くなり仕事に集中できない。

◆対応◆ *事件後の変化を自覚する。

・事件後(体験後)に自分の身に起きた変化のなかに、PTSD症状があります。
どのような変化があるか自覚して、そこを改善していくことが適切な対応です。

*心身や生活の変化を知る
*変化した部分を元に戻す

※「PTSDとトラウマのすべてがわかる本」2007 飛鳥井望/監修 講談社
※「PTSD治療ガイドライン エビデンスに基づいた治療戦略」 金剛出版
 エドナ・B・フォア、テレンス・Mキーン、マシュー・J・フリードマン/編

心のケア4|心身の反応

心のケア4 トラウマティックストレスに起因した 「心身の反応

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

●恐ろしい災害や事件を経験した後で感情の揺り返しが来るのは良くあることであり、
ごく正常な事です。
この感情の揺り返しはトラウマティックな災害や、事件の直後に現れることもあり、
数時間、数日、あるいは1カ月経過してから現れる事もあります。

●元来、ストレスは危険な状況に対する警告の意味があり、
生体は危険に対処しようとして、
反射的に交感神経が作動して血圧や脈拍を増したり、
筋肉を緊張させて身構える体制になり、
ストレッサーという外的負荷に対しての侵襲を
和らげようとします(適応機制・防衛機制)。

このような緊張状態が消失せず持続すると、
ストレスから心や身体の病気が引き起こされます。

トラウマティックストレスによる 『心身の反応』 には、次のような反応が見られます。

◆1、感情・思考の変化
・信じられない出来事が起こったために茫然としてしまい、何がどうなっているのか、
何をどう考えれば良いのか、自分自身が直面した現実を受け入れられないといった
心の状態になったり、悲嘆、落ち込み(うつ)、感情が麻痺したようになり、
混乱することがあります。

・災害や事件を引き起こしたものに対しての怒り、イライラが生じ、
その災害や事件についての感情の波を抑えきれなくなって、突然、涙が出てきたり、
自分自身を責めたり、自分に原因があるのではないかという
非現実的感覚に襲われることもあり、災害や事件について考えられない時期と、
強く考えてしまう時期が繰り返します。

◆2、身体の変化
・不安、恐怖のために眠れなくなったり、頭痛、腹痛、咽の渇き、寒気、
吐き気、湿疹、けいれん、嘔吐、めまい、胸の痛み、高血圧、動悸、
筋肉の震え、歯ぎしり、視力の低下、発汗、息苦しさなどが出現する事があります。

◆3、認知・感覚の変化
・方向感覚を喪失したり注意力が続かず集中する事が困難になる事があります。
過度の緊張状態や過覚醒、決断力の低下、身構え、悪夢、災害や事件の事が、
頻繁に頭をよぎる事も多くみられます。

◆4、行動の変化
・睡眠リズムの変化による睡眠障害、食欲不振や逆にたくさん食べすぎたり、
薬やアルコールへの依存、なかなか行動がスムーズにできなくなったり、
社会から引きこもるなどもみられます。

※ これらの症状の中には医師による診察が必要な場合もあります。
疑わしい場合は受診が必要です。
受診できる環境にない場合は避難所巡回中の支援スタッフへご相談ください。

※以上、災害時の心のケアにお役立て頂けましたら幸いです。

心のケア3|サバイバーズ・ギルト

心のケア3 「サバイバーズ・ギルト」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)とは

戦争や災害、事故、事件、虐待などに遭いながら、
奇跡の生還を遂げた人が、
周りの人々が亡くなったのに自分が助かったことに対して
しばしば感じる罪悪感のこと。

「サバイバー」(survivor)は「生き残り・生存者・遺族」を意味し、

「ギルト」(guilt)は「罪悪感」を意味する(英語)。

【被災者の「サバイバーズ・ギルト」を理解するために】

台風の被害を受けながらも命が助かった方は、
その幸運による罪悪感に苦しめられることがあります。
この罪悪感は「サバイバーズ・ギルト」と呼ばれます。

安易な慰めの言葉で傷つけてしまうことがないよう、
深い苦しみを抱える方の気持ちを少しでも理解し、
支えていくために必要なことを考えましょう。

【被災で生き延びられた方々の苦悩】

●「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」

生存者は命が助かったことによる苦しみを抱えることも多いのです。
自分の命は助かったものの親しい方の安否が分からず、
不安と心配で夜も眠れない毎日をお過ごしの方がたくさんおられます。
被災地では、一瞬の差が生死を分けることもあります。
今回の台風被災地でも誰かを助ける犠牲となった方々がおります。

そのような壮絶な体験の中で助かった生存者の方の中には、
自身の幸運に感謝しながら罪悪感に苦しめられてしまう方もおります。

「どうして私だけ助かってしまったのだろう」(苦悶)
「私が彼(彼女)の命を犠牲にしてしまった」(罪悪感)
「私さえいなければ彼を死なせることはなかったのに」(後悔)
「年老いた私が援助してもらうなんて申し訳ない」(自己否定)

このように、台風や震災、事故などの被害に遭い、
命が助かった幸運によって「罪悪感」にさいなまれることを
「サバイバーズ・ギルト(Survivor’s guilt)」と言います。

※’95年の阪神大震災や’05年4月25日に発生した
兵庫県のJR福知山線脱線事故に遭遇した生存者の間に、
このような罪悪感を抱えることがわかり注目されるようになった問題です。

災害時の心のケアにお役立て下さい。

心のケア2|被災した人のケア

心のケア2 「被災した人をケアするために」 (周囲の皆様へ)

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

◆1、何はともあれ休息をとってもらうことが第一です。
焦らずに、きちんと休みをとれるように配慮しましょう。

・特に睡眠は大切です。
普段よりもたくさん取ったほうが良いと言われていますが、
環境によって難しい場合は、「こまめに横になって休息すること」や、
「数分でも良いので目を閉じる」等、
ご提案してみるのもひとつの方法です。

◆2、安全感、安心感を与えるように努めましょう。

◆3、被災者が安心して気持ちを言葉にすることができ、
感情を吐露できるように、そっと包み込むような雰囲気づくりが大切です。

◆4、被災者ひとりひとりのニーズとペースに合わせて、
状況と気持ちをつかんで行きましょう。

・話を聴き、気持ちをそのまま受け止めましょう。
決して急がせずにゆっくりとその人のペースで少しづつ
気持ちを言葉にしてもらいましょう。
根掘り葉掘り、質問攻めにしてはいけません。

◆5、解決ではなく気持ちを共有、共感できること、
お互いに人として繋がっているという信頼感、連帯感を
感じてもらうことが肝心です。

・自然にわいてきてしまう感情を抑え込まずに、泣いたり、
怒ったりしても良いと伝えましょう。

◆6、今まで経験したこともない様々な反応や状態は、
トラウマティックストレスへの反応として当然であり、
自分が弱いわけでもおかしいのでもないことを知ってもらい、
自分を責め過ぎないように話しましょう。

◆7、”回復を信じる” ことが大切です。

・ケアを粘り強く一貫して行なうことによって、心の傷が少しづつ癒され、
やがては惨事の痛ましい記憶や感情に支配されたり、圧倒されることがす少なくなります。

・徐々に被災体験を心の中で処理する事ができるようになり、自分を取り戻すことができます。

(※専門医の受診を必要とすることがあります)

心のケア1|喪失の受容

心のケア1 「喪失を受容するために」

◇災害時 『こころのケア』 にお役立て下さい。
  *正しい知識をもって適切に対処していきましょう。

【喪失を受容するための5つのプロセス】

●私たちはどのようにしたら、安定した境地に達することができるだろうか。
どうすれば、ありのままの現実を見つめることができるのだろうか。

私たちに投げつけられる喪失、変化、新しい出来事を、
どのように受容して行けばいいのだろうか。

最初から、まったく逆らわず、わめくこともなく受け入れることはできないだろう。
物事を受け入れる場合、私たちは5つの段階を経過しながら進んで行く。

●アメリカの精神科医 「エリザベス・キューブラー・ロス」(1926~2004)は、
「究極の喪失」を、人間はどのようなプロセスを通して、
受け入れていくのかを明らかにした。
彼女はそれを、 ”悲嘆のプロセス” (グリーフワーク)と呼んだ。

●メンタルヘルスの分野では、死にかぎらず、いかなる喪失に直面する時でも、
同じようなプロセスをたどることが明らかになってきた。

例えば、1万円札をなくしたとか、待ち望んでいたメールが今日も来なかったといった
小さな喪失の場合にも、離婚、配偶者の死別、失業のような大きな喪失の場合にも、
同じようなことが起こるし、新しい家を購入して古い家を去る場合のように、
好ましい変化(結婚や新居への引っ越し等)の場合にすら、起こりうることである。

●エリザベス・キューブラ・ロス女史の明らかにした「5段階のプロセス」

◆第1段階:否認と隔離

予期しない衝撃的なニュースをきかされた時、現実に起こった時、
そのショックをまともに受けないために、まず否認がおこる。

◆第2段階:怒り

喪失(死)という現実を認めざるえなくなると、
次に怒りや恨みがこれに取って代わるようになる。
「なぜ俺だけこんな目に会わなくてはならないのだ!」

この怒りが八つ当りとなって他者に向けられる。

◆第3段階:取引

次に人は神や仏に対して、失ったものをどうしたら取り戻せるか、
又は、延命できるか取引し始める。

例: 「もう何もいりませんから家族を還してください」
例: 「この出来事が夢でありますように(夢であって下さい)」云々。

◆第4段階:抑うつ

以上の段階を経て、それらが無駄であることを知り当事者はうつ状態に陥る。
現実を直視し、無力感が深刻となる。

それとともに「かけがえのないもの」との永遠の別れを覚悟するために、
他人から癒されることのない絶対的な悲しみを経験しなければならない。

◆第5段階:受容

自分自身の現実、現状を、静かに見つめることのできる受容の段階に入る。
最終的に「喪失」を静かに、そして穏やかに受け入れる段階。

【受容】

・受容は格別に快適というわけではない。実際は苦痛を伴う。動揺を禁じ得ない時もある。
・受容へのプロセスが始まる時、私たちはショックを受け、パニック状態に陥ることが多い。
・段階をすすむにつれて、混乱したり、傷つきやすくなったりする。
・さびしく、孤立感をつのらせる場合もある。

まだ受け入れていない事実について、
私たちは、このようなプロセスを通過して受容して行くのだが、
「悲嘆のプロセス」の複数の段階が同時にやってくることもありうる。

否認、抑うつ、取引、怒りが一度に殺到してくることも考えられる。
自分がある状況を受け入れようと苦闘しているという事実すら、
実感できない時があるかもしれない。

小さな喪失なら、この5段階のプロセスを通過し終えるのに
30秒ほどで済むかもしれない。
重大な喪失の場合は、数年間かかるかもしれない。個人差は大きい。

しかも、この5段階はあくまでも図式モデルであって、
誰でもこのプロセスを正確にたどるわけではない。

時には、途中で一つ前の段階へ戻ったり、
二つ先の段階へ飛んだりと行ったり来たりすることもあるだろう。

怒りから否認へ、否認から取引へ、さらに取引から否認へ戻るといった具合に。
いずれにしても、私たちは速度や道程には関係なく、
この段階を進んでいかなければならない。

エリザベス・キューブラー・ロスは、それが正常なプロセス(過程)であるばかりでなく、
必要不可欠な過程であり、全段階が必要だと述べている。

※災害時 『心のケア』 にお役立て下さい。

双極性障害

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)

・エネルギーの高まった「躁状態」(そうじょうたい)
・エネルギーの低下している「うつ状態」
この2つの気分のアップダウンが大きい病気です。

躁(そう)状態では本人が苦痛や問題意識を持つことがなく自覚がありません。
医療機関を受診される方は、ほとんどがうつ状態です。(家族や職場の方に促されて等)

◆双極性障害はⅠ型とⅡ型に分類されています(躁状態の程度によって診断される)
・Ⅰ型は「躁状態」と「うつ状態」
・Ⅱ型は「軽躁状態」と「うつ状態」で気分の波がみられます。

*躁状態:本人は気分が良いが、周囲は疲弊する
*うつ状態:本人はつらいが、周囲は休める

そして気分の波が本人の苦痛を増強させてしまいます。
近年は薬の選択肢が拡がり、ご本人が治療に取り組み、
「ちょうどいいところで安定を目指す治療」に変化してきています。
薬で気分のアップダウンの振り幅を小さくして行き、
上手に付き合っていくことを目指します。

その為には以下のことを理解していく必要があり、
本人及び家族や関わる人々の理解が重要です。

・治療は継続的に受けなければならない
・お薬は焦らずに使っていく必要がある
・規則正しい生活をする
・ストレスとのつきあい方を知る
・病状の移り変わりの状態をしっかり掴んでおく
・社会生活を少しずつ拡げて行く

⇑ 

本人だけでは上手く進まないことが多いので状況に応じて、
家族や周囲の方々のサポート、声がけ、働きかけ、
職場では、産業医や人事面談等で状況確認が必要になります。

◆「双極性障害」を理解するための参考(診断基準の把握)
・双極性障害Ⅰ型:躁病エピソード+抑うつエピソード
・双極性障害Ⅱ型:軽躁病エピソード+抑うつエピソード

●躁病エピソード
気分が持続的に異常に高揚し、開放的、易怒的になる。
亢進した活動や活力がある。
このような期間が少なくとも1週間、ほぼ毎日続く。
以下のうち少なくとも3つ(気分が易怒性のみでは4つ)を認める。

①自尊心の肥大・誇大
②睡眠欲求の減少
③普通より多弁・しゃべり続けようとする切迫感
④観念奔逸・いくつもの考えがわいてくる
⑤注意散漫
⑥目標志向性の活動・精神運動焦燥
⑦良くない結果につながる活動に夢中になること
社会的・職業的機能に著しい障害を引き起こしている
何らかの物質によるものではないこと

●軽躁エピソード
気分が持続的に異常に高揚し、開放的、易怒的になる。
亢進した活動や活力がある。
このような期間が少なくとも4日間、ほぼ毎日続く。
以下のうち少なくとも3つ(気分が易怒性のみでは4つ)を認める。

①自尊心の肥大:誇大
②睡眠欲求の減少:眠らなくても活動的に過ごせる
③普通より多弁:しゃべり続けようとする切迫感
④観念奔逸:いくつもの考えがわいてくる
⑤注意散漫
⑥目標志向性の活動:精神運動焦燥
⑦まずい結果につながる活動に夢中になること
・症状がないときとは異なり、明らかに機能的変化がある
・変化が他者から観察できる
・社会的、職業的に著しい障害を引き起こしたり、入院を必要とするほどではない
・物質によるものではないこと

●抑うつエピソード
以下の症状のうち5つが2週間の間に認められ、そのうち少なくとも一つは①か②

①抑うつ気分
②興味や喜びの喪失
③体重の増減・食欲の異常
④睡眠障害
⑤精神運動焦燥・精神運動制止
⑥疲労感・気力低下
⑦無価値観・罪責感
⑧思考力低下・集中力低下
⑨希死念慮:死にたい気持ちが強くなる
苦痛が明らかか、社会的・職業的な機能障害を認める
物質によるものではなく、その他の病気によるものでもない

【補足】
※④睡眠障害が起こっていると、⑨希死念慮が出やすくなるため、睡眠が重要になる訳です。

※睡眠障害とは、眠れない(入眠困難)、短時間で目覚める、起床時も疲れが取れていない、熟睡感がない、早朝に目覚めてしまう、などの症状、状態が、2週間以上連続している場合を指します。(睡眠障害の診断基準)

※双極性障害という病気は、長期間にわたって症状を繰り返す病気です。
このような病気であるがゆえに、無くそうと必死になって頑張ろうとすると、ますます苦痛が大きくなって行きます。

双極性障害を治療していく過程では、病気を受け入れて付き合って行く、という気持ちに切り替えていただくことが必要で、切り替えにより症状も安定して行きます。双極性障害とは戦うのではなく「付き合って行こう」という考え方の方がうまく行くのです。

双極性障害は原因はよくわかっていないのですが、何らかの脳の機能的異常によって気分に波が生じると考えられています。そのため、薬によって「気分を安定」させることが大切、ポイントです。従って本人はもちろんのこと、家族や周囲の方々の理解とサポートも必要になります。

公認心理師|国家資格

公認心理師法(国家資格)は、
平成27年9月9日に議員立法により成立し、9月16日に公布され、
平成29年9月15日に施行されました。

☆第1回公認心理師 国家試験は、平成30年9月9日に実施されました。
【2018年9月9日 第1回公認心理師試験結果】
・受 験 者 数   35,020人
・合 格 者 数   27,876人
・合 格 率   79.6 %

※公認心理師法(平成27年法律第68号)に基づき実施した、
第1回公認心理師試験(追加試験)平成30年12月16日実施の結果等

☆第1回公認心理師 国家試験(追加試験)は、平成30年12月16日に実施されました。
【2018年12月16日 第1回公認心理師試験結果】※追加試験:北海道
・受 験 者 数  1,083 人
・合 格 者 数    698 人
・合 格 率    64.5 %
(※追加試験は北海道の台風被害により設けられた)

☆第2回公認心理師 国家試験は令和元年8月4日に実施されました。
【2019年8月4日 第2回公認心理師試験結果】
・受 験 者 数  16,949 人
・合 格 者 数   7,864 人
・合 格 率   46.4 %

【公認心理師】
公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、
公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、
心理学に関する専門的知識及び技術をもって、
次に掲げる行為を行うことを業とする者をいいます。

(1)心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
(2)心理に関する支援を要する者に対する、
   その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
(3)心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、
   指導その他の援助
(4)心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

公認心理師法概要

【目的】
公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、
もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。

【定義】
「公認心理師」とは、公認心理師登録簿への登録を受け、
公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、
心理学に関する専門的知識及び技術をもって、
次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

① 心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析
② 心理に関する支援を要する者に対する、
  その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助
③ 心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、
  指導その他の援助
④ 心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

【国家試験】
公認心理師として必要な知識及び技能について、
主務大臣が公認心理師試験を実施する。
受験資格は、以下の者に付与する。

① 大学において主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、
  かつ、大学院において主務大臣指定の心理学等の科目を修めて
  その課程を修了した者等
② 大学で主務大臣指定の心理学等に関する科目を修め、
  卒業後一定期間の実務経験を積んだ者等
③ 主務大臣が①及び②に掲げる者と同等以上の
  知識及び技能を有すると認めた者

【義務】
1 信用失墜行為の禁止
2 秘密保持義務(違反者には罰則)
3 公認心理師は、業務を行うに当たっては、
  医師、教員その他の関係者との連携を保たねばならず、
  心理に関する支援を要する者に当該支援に係る主治医があるときは、
  その指示を受けなければならない。

【主務大臣】
文部科学大臣及び厚生労働大臣

【経過措置】
既存の心理職資格者等に係る受験資格等について所要の経過措置を設ける。

【公認心理師】(こうにんしんりし)とは、
公認心理師法を根拠とする日本の心理職国家資格である。

【心理職の国家資格】
名称独占資格として規定される(第44条第1項)とともに、
資格創設(全面施行)以降、公認心理師の有資格者以外は、
「心理師」という文字の使用禁止が規定された(第44条第2項)。

◆公認心理師は、現行の「臨床心理士」と同様、
教育、医療・保健、福祉、司法・矯正、労働・産業、学術・研究など、
多岐にわたる活動領域を想定しており、
特定の分野に限定されない「汎用性」「領域横断性」を特長とする
心理職国家資格を旨とするものである。
そのため、文部科学省と厚生労働省による共管とされ、
主務大臣は文部科学大臣と厚生労働大臣と規定されている。

◆公認心理師が行う心理的行為としては、
「心理検査」「カウンセリング」「心理療法」といった
「心理的支援」や「コンサルテーション」、「心理教育」等を想定して、
「一、心理に関する支援を要する者の心理状態の観察・分析」
「二、心理に関する支援を要する者との心理相談による助言・指導」
「三、心理に関する支援を要する者の関係者との心理相談による助言・指導」
「四、メンタルヘルスの知識普及のための教育・情報提供」の4種が掲げられている(第2条)。

この点は現行の臨床心理士の専門業務
(①「臨床心理査定」②「臨床心理面接」③「臨床心理学的地域援助」
④「①~③に関する調査・研究」)を鑑み、規定された。
但し、公認心理師は臨床心理士にとって変わるものではなく、臨床心理士の資格は今後も残り、公認心理師と共存していくものと考えられている。